研究課題/領域番号 |
22K19686
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
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研究分担者 |
原 丈介 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任准教授 (30710199)
大倉 徳幸 金沢大学, 附属病院, 助教 (80397215)
早川 和一 金沢大学, 環日本海域環境研究センター, 連携研究員 (40115267)
原 章規 金沢大学, 医学系, 准教授 (70507045)
神林 康弘 岡山理科大学, 獣医学部, 教授 (20345630)
辻口 博聖 金沢大学, 医学系, 特任助教 (00723090)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 多環芳香族炭化水素 / アトピー咳嗽 / 疫学 / 大気汚染 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
アトピー咳嗽は、これまで非定型の気管支喘息が環境中化学物質の多環芳香族炭化水素(PAH)によって引き起こされることが見出されたことから、アトピー咳嗽の発症においても、環境中化学物質が大きな危険因子である可能性があると考えた。 本研究ではこれまでに10年以上の疫学実績のある石川県志賀町において大気中化学物質、特にPAHや重金属を中心にアトピー咳嗽患者、約100人を対象とした後ろ向きコホート研究および臨床研究を実施し、曝露と疾患の因果関係を明らかにする。 発症機序としての酸化ストレス、特にスーパーオキシドの産生を軸とした病態を解明し、これをバイオマーカーとしたアトピー咳嗽の予防法を提示する。
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研究実績の概要 |
持続する咳嗽を主訴とするアトピー咳嗽は、近年、急速に増加している。その基本病態は病理学的には中枢から末梢気道全体の好酸球性気道炎症であり、生理学的には気道過敏性亢進と気管支平滑筋トーヌス亢進であるが、その抜本的な原因はほとんど不明である。本研究では、新しい大気汚染物質として呼吸器疾患の原因の候補物質である多環芳香族炭化水素(PAH)とそのニトロ体(NPAH)とアトピー咳嗽の関係を明らかにするために、医療機関に外来受診しているアトピー性咳嗽、咳喘息、あるいは気管支喘息の慢性咳嗽(8週間以上の持続する咳)を呈する患者98人に対して、日々の患者の呼吸器疾患に関する咳や鼻水などの症状を日記方式で調査し、一方、集団サンプリングによってPAHやNPAH金属などの環境中化学物資の曝露を評価した。この症状と曝露量との関係を一般化推定方程式によって解析した結果、TSPとPAH濃度と咳の頻度との関係をlag0-4のGEEモデルにおいて解析したところ、BaP/BghiPとIcdP/(IcdP+BghiP)が咳の頻度と有意な負の相関を示し、ベンズ[a]アントラセン(BaA)およびピレン(Pyr)が有意なあるいはその傾向を示す正の相関を認めた。このことは、ローカルな交通車両由来のPAHが咳の発症と関係することが示唆している。アトピー咳嗽の病態をさらに解明するために、アトピー性咳嗽を有さない患者との比較などの疫学を次年度以降、実施する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アトピー性咳嗽、咳喘息あるいは気管支喘息患者98人をリクルートし、症状をモニタリングし、個々のPAHごとに、咳症状のリスクを推定できたことから、「おおむね順調に進展している。」とした。
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今後の研究の推進方策 |
アトピー性咳嗽、咳喘息あるいは気管支喘息患者をさらにリクルートし、アトピー性咳嗽と非アトピー性咳嗽の患者を比較可能にすることによって、アトピー性咳嗽独自の病態がさらに明らかになると考えられる。個々のPAHごとにリスクを、アトピー性咳嗽の他の症状を目的変数、アレルギー性疾患の合併の有無やBMIなどの体格あるいは生活習慣などを共変量とした一般化推定方程式によって評価する予定である。
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