研究課題/領域番号 |
22K19691
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
大平 哲也 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50448031)
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研究分担者 |
木山 昌彦 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (10450925)
今野 弘規 近畿大学, 医学部, 教授 (90450923)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / 生活習慣 / 心理的ストレス / 災害 / 地域住民 / COVID-19 / ストレス / 善玉菌 / 悪玉菌 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、コロナ禍における精神的苦痛および脂肪・糖代謝異常の出現に予防的に関与する腸内細菌叢が存在するという仮説のもとに、前向き研究及び介入研究によって仮説を検証することを目的とした。地域住民を対象として調査した社会心理的ストレス、腸内細菌叢、脂肪・糖代謝異常、及び生活習慣のデータをベースラインとして、追跡調査によって、腸内細菌叢がコロナ禍における精神的ストレス、脂肪・糖代謝の出現に及ぼす影響を明らかにする。さらに、腸内細菌叢を改善する介入研究により、精神的ストレス及び脂肪・糖代謝の改善効果を明らかにする。本研究は今後起こり得る災害等における精神的疾患、生活習慣病の予防対策に貢献できる。
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研究成果の概要 |
本研究は、コロナ禍における精神的ストレスの出現に予防的に関与する腸内細菌叢があるという仮説のもとに、秋田県、大阪府、及び福島県避難区域住民を対象として、健診に併せて腸内細菌叢の検査を実施した結果、福島県住民は乳酸菌の割合が特に男性において他の地区よりも多く、地域差に関しては乳酸菌を比較することが有用であると考えられた。また、酪酸産生菌の割合と自覚的ストレスとの間に負の関連がみられ、酪酸産生菌がストレス耐性を高める可能性が示唆された。さらに、ポジティブな心理要因を増やすための無作為化比較試験を行った結果、便通に関しては効果が明らかではなかったが、精神的ストレスに軽減がみられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、心理的ストレスと腸内細菌叢との関連について、異なる3地域において検討した点に新規性がある。ビフィズス菌の割合に地域差がみられたことは、今後地域における心身の健康の違いに腸内細菌叢の違いがどのように影響するかを検討する上で基礎資料となるものと考えられる。また、酪酸産生菌と自覚的ストレスとの間に負の関連がみられたことは、これまで酪酸を含む短鎖脂肪酸がドーパミンやアドレナリンを介してストレス緩和に影響する報告を支持するものであり、自然災害後の心理的ストレスに対して腸内細菌叢の面からの介入を展開できる可能性が示唆されれた。近年自然災害が多発するわが国の対策に応用可能であり社会的意義が大きい。
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