研究課題/領域番号 |
22K19693
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
神谷 重樹 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (60379089)
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研究分担者 |
徳本 勇人 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 准教授 (70405348)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | マイクロプラスチック / NASH / メダカ / 腸内細菌叢 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 生活習慣病 |
研究開始時の研究の概要 |
マイクロプラスチック(MP)は生物内濃縮による人体への影響が懸念されているが,ヒトの 健康影響はほぼ不明である。MPは近年,魚類で肝臓や筋肉組織の移行,長期摂取での肝臓ガン発症が報告されている。MPの生体影響リスクは①腸管経由で取り込まれるMPの大きさ②MPに含まれるリスクファクター(生体毒性)の実体と考えられる。本研究ではその実体をプラスチック自体,環境中で取り込まれる化学物質,あるいは付着する細菌,と腸内細菌叢との競合(影響)を想定し,③生活習慣病への影響までの一連の問題点を解析できるモデルとして非アルコール性脂肪肝炎(NASH)モデルメダカを用い,MP摂取の本質的原因を特定し,そのリスクの評価法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は,昨年度よりも粒径の小さなプラスチックを用いて,非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の病態への影響を検討することにした。そこで粒径1 μmの白色ポリスチレン粒子をマイクロプラスチック(MPs)のモデルとして高脂肪食に餌重量の5%混餌して投与することによりNASH病態への影響を解析することとした。実際には標準系統cabの野生型メダカを止水飼育に順化したのち,3群に分割し,それぞれ通常食(ND),高脂肪食(HFD)を毎日20 mg/匹,HFDにMPsを5%重量混合したもの(HFD + MPs)を毎日21 mg /匹で投与し,12週間飼育した。飼育終了後,麻酔下で解剖し,形態学的な変化,体重や肝臓重量,肝臓組織の病理染色,ガスクロマトグラフィー質量分析による肝臓の脂肪酸量および脂肪酸組成,16SrRNAアンプリコン解析による腸内細菌叢構造などの項目について解析を進めている。現在までに,HFD 群と HFD + MPs 群を比較すると, 肝臓についてはHFD + MPs 群の方がやや白っぽく, また胆嚢が大きい傾向が見られたが, 体重や肝臓重量,および肝臓重量体重比ではこれら2群に有意な差は認められなかった。一方,肝臓組織の病理染色ではHE染色で,HFD群で見られた脂肪滴のサイズがHFD + MPs 群では有意に大きくなることが認められた。肝臓組織のオイルレッドO染色ではHFD 群と HFD + MPs 群の両者で脂肪の蓄積が認められたが大きさ違いは認められなかった。現在,さらに肝臓中の脂肪酸および腸内細菌叢の構造を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の結果から,粒径が小さいほどメダカ体内の貯留時間が長くなることが明らかになったので,粒径の非常に小さなポリスチレン粒子を用いて本年度投与実験が実施できた。その後の,NASH病態の解析も順調に進んでいる。一方,材質の異なる粒子については,先行研究で用いられているマイクロプラスチックのモデルとされるポリスチレンなどの粒子が輸入されていないことやコロナ禍で生産されていないこと,極端に高価であることもあり難しく,他の方法がないか検討している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はまず現在研究を進めている極小ポリスチレン粒子を高脂肪色に混餌して投与したメダカの病態のさらなる解析を進める予定である。まず,近年NASHの病態として注目されているマクロファージの浸潤を抗マクロファージ抗体で免疫染色し病理診断する。また肝臓または血中のTG,コレステロール,総脂肪酸量および組成をGC-MSやHPLCにより測定する。さらに,肝臓からRNAを抽出し,SREBPなど脂肪酸代謝に関わる遺伝子や炎症生サイトカインの遺伝子の発現をqPCR法により定量する。ヒトではNASH患者で見られる腸内細菌叢の乱れ(dysbiosis)が起こっているかを16SrRNAアンプリコン解析により調べる。これらによりMP混餌と非混餌でNASHの病態の違いがあるかを総合的に判定する。さらに時間的に可能であれば,脂肪合成や肝線維化に関わるタンパクと蛍光タンパクを融合したタンパクを発現するトランスジェニックメダカを作製し,イメージングにより評価する。
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