研究課題/領域番号 |
22K19696
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
兒玉 隆之 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (80708371)
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研究分担者 |
村田 伸 京都橘大学, 健康科学部, 教授 (00389503)
片山 脩 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 外来研究員 (60845999)
森田 喜一郎 久留米大学, 付置研究所, 客員教授 (20140642)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | pre-MCI / 脳波 / 事象関連電位 / ゲーティング / 抑制機能 / アプリケーション |
研究開始時の研究の概要 |
超高齢社会に突入した我が国においては、認知症の発症前期に相当する「前軽度認知機能障害(pre-MCI)」をいかに早期に発見し対応するかは、喫緊の課題である。 これまで、遂行機能や記憶といった認知機能の基盤となる「抑制機能」が、無症候期のpre-MCIの段階から低下することが報告されている。研究代表者らは、独自に開発した抑制機能課題がpre-MCI検出の有用な評価指標になり得ることを明らかにしてきた。本研究では、これまでの研究を応用し、抑制機能の低下度合いを基準とするpre-MCI評価アプリを開発検証し、本アプリをドリル化することで機能改善トレーニングツールとしての効果を検証することを目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、認知機能の基層となる「抑制機能」が無症候期の前軽度認知機能障害(pre-MCI)の段階から機能低下を生じる点に着目し、抑制機能の低下度合いを基準とするpre-MCI評価のためのアプリを開発しその有用性を検証することを目的としている。本年度は、大がかりなシステム装置構成のため汎用性の低かった抑制機能課題を、操作性や視認性を高め、デバイス(Windows用)へ重畳した評価アプリのプロトタイプを開発した。システム概要としては、デバイスの画面上に標準刺激や抑制刺激として条件付けした図形を呈示し、それらへ応答した際、正答率や反応時間の平均値が算出されるものである。現時点では、岡山県および愛知県の研究協力施設での本アプリの有用性に関する実験を実施している。 また、実験を行う中で、刺激に対する脳内処理プロセスの分析結果から、視覚や体性感覚などの感覚情報を確実に捉えられているか(ゲーティング機能)について解決すべき問題点が挙がったため、認知判断能力とゲーティング機能の関連性に関する検証も行った。若年者と高齢者において脳波を用いて検証した結果、若年者ではゲーティング機能と認知機能指標P300成分の潜時に有意な相関関係を認めた。脳波イメージング解析として空間的側面から検証した結果、標的刺激条件においてP300成分出現時に左背側後帯状皮質、ゲーティング成分出現時は左島皮質および左体性感覚連合野に、若年者で有意に高い活動を認めた。神経機能的連関性においても高齢者と比べ若年者は有意に高い神経機能的連関性を両脳領域に認めた。これらのことから、若年者と高齢者における脳内情報処理過程には機能的差異が生じている可能性が示唆された。本結果を踏まえ、アプリの有用性について現在も研究を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アプリ開発に関するシステム構成へ機能充実のための修正を行った結果、当初予定していた概要と異なるものとなった。その開発に時間がかかってしまい、有用性に関する実験が遅れている。また、脳内感覚情報処理プロセスに関する検証のため、本実験を開発と並行して行ったため計画に遅れが生じてしまった。そのため「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に引き続き、アプリの有用性検証を行う。また、計画予定であるアプリをドリル化した介入効果の検証を行うため、研究協力施設にて対象者リクルートを速やかに行い、データを収集分析した後、成果報告する予定である。
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