研究課題/領域番号 |
22K19714
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
吉澤 達也 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 准教授 (40313530)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | グルココルチコイド / アシル化 / サーチュイン / グルココルチコイドレセプター / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
グルココルチコイド(GC)は強い抗炎症作用をもつため、免疫疾患の治療に用いられているが、副作用として代謝異常を引き起こすことが知られている。応募者は、脱アシル化酵素サーチュインの一つであるSIRT7の欠損では、GCによる筋萎縮などの副作用が著しく損なわれるが、抗炎症作用は保たれることを見出した。さらに、SIRT7がGRの新規アシル化修飾を取り除くことを発見した(いずれも未発表)。そこで本研究では、SIRT7を足がかりに、GC作用を分ける新規GR転写制御機構の解明を目的とし、GC副作用を 軽減する薬剤の開発に向けたシーズとなることを目指す。
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研究実績の概要 |
我々は、脱アシル化酵素サーチュインの一つであるSIRT7の欠損(KO)細胞では、グルココルチコイド(GC)による筋萎縮関連遺伝子の発現が著しく損なわれるが、抗炎症作用は保たれることを見出した。さらに、SIRT7がGC受容体(GR)の新規アシル化修飾を取り除くことを発見した(いずれも未発表)。そこで本研究では、SIRT7を足がかりに、GC作用を分ける新規GR転写制御機構の解明を目的とし、GC副作用を軽減する薬剤の開発に向けたシーズとなることを目指している。令和4年度は以下の研究を実施した。 1) WTマウスとSirt7 KOマウスにGCを14日間毎日投与し、骨格筋の萎縮、骨量の低下等について解析した。その結果、Sirt7 KOマウスでは骨格筋の萎縮および皮質骨面積の低下が有意に抑制されていた。また、筋萎縮関連遺伝子の発現を解析した結果、Sirt7 KOマウスではGCによるAtrogin-1の発現増強が著しく抑制されていた。 2) GRの転写活性をWTとSirt7 KO細胞で検討したところ、Sirt7 KO細胞ではGRの転写活性が低下していることが明らかとなった。GRのスクシニル化リジン残基特定のため、GRを4つの部分に分割してSIRT7との結合部位を免疫沈降により解析したが、複数の部分に結合が見られてしまい、結合部分を特定できなかった。また、分割したGRではスクシニル化も認められなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本人および家族が健康上の問題から立て続けに入院し、長期間、研究教育活動が制限された。また、2名の外国人研究員が突如帰国および米国留学のため研究室を去ったため、タンパク質の解析に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
1) 抗炎症作用について、TPA誘発性皮膚炎などの炎症モデルを用いて検討する。さらに、SIRT7により調節されるGR標的遺伝子を網羅的に解析するため、RNA-Seq解析を行う。 2)スクシニル化リジン残基の特定、スクシニル化模倣(標的リジンのグルタミン酸への置換)GR発現プラスミドの作成、模倣体GRを用いた細胞内局在・タンパク質安定化・クロマチンへの結合・転写共役因子群との結合・転写活性/抑制化能の解析を行う。さらに、スクシニル化GRに特異的に結合する因子の網羅的スクリーニングや、CRISPR-Cas9システムを用いた内在性GRへのスクシニル化模倣体導入に着手する。 3) GC阻害剤を内包させた骨指向性CyDを用いて、Dexによる骨量低下を予防できるか検討する。
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