研究課題/領域番号 |
22K19723
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター) |
研究代表者 |
浅原 哲子 (佐藤哲子) 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 内分泌代謝高血圧研究部, 研究部長 (80373512)
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研究分担者 |
菅波 孝祥 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50343752)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 認知症 / サルコペニア / コグニティブフレイル / TREM2 / microRNA / 糖尿病 / 脳筋脂肪連関 / 先制医療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、糖尿病に伴う脳と筋肉との病的多臓器連関により、認知症とサルコペニアが同時進行すると考え(脳-筋-脂肪連関)、その炎症イニシエーター/メディエーターとして脳・筋肉・脂肪組織に発現するTREM2と血中sTREM2に着目し、sTREM2受容体・sTREM2機能制御トリガー分子など新規コグニティブフレイル惹起因子の同定を端緒として、糖尿病における「エイジングドミノ」すなわち多臓器障害の分子機構の解明を目指す。以上より、糖尿病にて悪化する脳-筋-脂肪連関の包括的な治療法を確立し、健康寿命延伸の為の認知症・サルコペニアの革新的予知指標・治療戦略の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では脳-筋-脂肪の病的多臓器連関のメディエーターとして脳・筋肉・脂肪組織に発現するTREM2・血中sTREM2に着目し、sTREM2受容体やsTREM2機能制御トリガー分子等の同定を端緒として、糖尿病における脳-筋-脂肪連関悪化・コグニティブフレイルの分子機構の解明、脳-筋-脂肪連関悪化の包括的な治療法の開発を行い、健康寿命延伸の為の認知症・サルコペニアの革新的予知指標・治療戦略の開発を目指している。本年度は、申請者が既に作製しているTREM2欠損マウスにて、16週間の高脂肪食負荷を行い、高脂肪食負荷ではTREM2欠損マウスでは対照マウスと摂食量・体重は変わらないにもかかわらず、糖負荷試験における空腹時血糖とインスリン値の上昇など耐糖能異常や骨格筋量の低下も認め、脳筋脂肪連関へのTREM2の関与が示唆された。今後、マウスから採取した血清・単球・脂肪組織を用い、各群別に網羅的遺伝子発現解析やmicroRNAアレイ等を施行し、糖尿病・肥満での認知症・サルコペニア発症における脳筋脂肪連関悪化プロセスとその進展メカニズムを検討し、TREM2の病態意義を明らかにする。 また、認知症・MCIコホート2000例を構築し、血中sTREM2と血中Aβ・tauを新規アッセイ系により同時測定し、糖尿病の有無や認知症の重症度間で、血中Aβ42/Aβ40比 sTREM2値に有意な結果を認めた。特に、糖尿病を合併した認知症・MCIではミクログリア機能障害によるsTREM2低下が起点になることが示され、糖尿病性認知症の特徴と予知評価系を提唱した(Diabetes Res Clin Pract 2022)。さらに、コグニティブフレイルに関する健診コホートとNHO多施設共同肥満症・糖尿病コホート(J-DOS3)も構築し、現在、認知症とサルコペニア/フレイルとの関連を糖尿病有無別に横断・縦断解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
基礎研究では、脳-筋-脂肪連関増悪の分子病態の解明として、TREM2欠損マウスの16週間の高脂肪食負荷試験を完了し、脂肪-筋連関における耐糖能異常や筋委縮など有意な成績を見出しており、今後各マウスの血清・単球・脂肪組織を用い、メタボローム解析・microRNAアレイやsTREM2機能制御トリガー分子の同定など脳-筋-脂肪連関の進展機序のメカニズムを検討していくことができる。 また、臨床研究においては、認知症・MCIコホート2000例の登録が完了し、先行して一部症例に対し、 世界初で血中sTREM2と血中Aβ・tauの同時測定・比較検討し、糖尿病性認知症ではミクログリア機能障害によるsTREM2低下が起点となる可能性を報告し、糖尿病性認知症の特徴や予知バイオマーカー評価系(sTREM2低下・Aβ不変・tau上昇)を提唱することができた(Diabetes Res Clin Pract 2022)。 さらに、本年度、NHOコグニティブフレイルコホート(J-DOS3)や健診コホートを新規に構築し、糖尿病性認知症・サルコペニアにおける脳筋脂肪連関の分子病態解明に向け、データベース構築と血清・血漿取得を行い、アディポサイトカインやmicroRNAの測定の準備を行っており、計画通り、順調に研究は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られたTREM2欠損マウスや各糖尿病・認知症各モデルマウスの血清・単球・脂肪組織を用いて、各群別に網羅的遺伝子発現解析、メタボローム解析、microRNAアレイとエピゲノム解析を施行し、各オミックス情報の連結により、脳筋脂肪連関悪化プロセス(エピゲノム~遺伝子発現・メタボライト変化)を可視化・プロファイリングし、認知症・サルコペニア惹起共通因子を探索・同定する。 また、本年度までに構築した認知症・MCIコホート、コグニティブフレイルに関する健診コホートや肥満症・糖尿病コホートのデータベースを用い、肥満度, 筋肉量, 糖脂質代謝, 炎症・動脈硬化指標, 単球機能(M1/M2・TREM2発現), 血中sTREM2濃度, 新規トリガー分子血中濃度, 認知症指標[認知機能検査・脳MRI/PET、血中Aβ・tau],サルコペニア指標[骨格筋量指標・握力等]について横断・縦断解析しながら、取得した血液検体を活用して、メタボローム解析やmicroRNAアレイなどより、認知症・サルコペニア・糖尿病惹起共通因子の同定を検討し、同時にsTREM2受容体やsTREM2機能制御トリガー分子等の同定も進めていく。 以上より、脳-筋-脂肪の病的多臓器連関のメディエーターとして脳・筋肉・脂肪組織に発現するTREM2・血中sTREM2に着目し、糖尿病における脳-筋-脂肪連関悪化・コグニティブフレイルの分子機構の解明、脳-筋-脂肪連関悪化の包括的な治療法を確立し、健康寿命延伸の為の認知症・サルコペニアの革新的予知指標・治療戦略の開発を目指す。
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