研究課題/領域番号 |
22K19725
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
高木 英樹 筑波大学, 体育系, 教授 (80226753)
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研究分担者 |
佐藤 大輔 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 教授 (60544393)
廣川 暢一 筑波大学, システム情報系, 助教 (60746303)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 水泳 / 流体力学 / 運動制御 / 立位姿勢制御 / 圧力センサ / フィードバック / 水中環境 / 生体反応 / ヒューマンセンシング / 水泳水中運動 / バイオメカニクス / 水泳指導方法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,心身に障害を持つ人へ応用することを前提に,水中環境での自己身体認知能力を向上させる方法の開発とセンサースーツを用いた他者の運動理解と再現を補完・促進する練習方法の開発に取り組み,それらを組み合わせた新たな指導方法の効果を検証することを目的とする.また本研究は,最新テクノロジーを用いて人の感覚に直接働きかけを行い,水中での運動学習を促進する新たな指導方法を開発することにつながることが期待される.
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研究実績の概要 |
2023年度は、センサーを用いた泳技術の評価及びフィードバックに関する研究として、長年に渡り議論の的となって来た、クロール泳におけるキック動作が正味の推進力として貢献しているか否かを明らかにすることを目的とし、8名のエリート大学生スイマーを対象に、回流水槽を用いて、実験を実施した。実験に当たり、泳者の左右の手部に6個ずつ、計12個の小型防水圧力センサー(PS-05KC、協和電業)を Tsunokawa et al.(2018)の方法を参照して貼付した。合わせて、泳者の上肢のストローク動作を3次元的に分析するための自発光マーカーを12カ所に貼付し、手部周りの圧力分布計測と上肢のキネマティック計測を同時に行った。実験条件として、キック動作を伴ったWhole-stroek条件とキック動作を行わず腕のかきのみで推進するArm-only条件の2条件で、ストローク頻度を統制してクロール泳を行わせ、各条件間における泳速度、手部発揮推進力および身体各部のキネマティック指標を比較検討した。 実験の結果、クロール泳における中速域から高速域において、キック動作を使うことで、キック動作を使わなかった場合より、泳速度が向上した。重要なのは、この速度の向上は、手の推進力にはまったく影響を与えなかったことである。このことは、キック動作がどのような水泳速度域においても推進力に直接寄与している可能性を示唆しており、これまで議論に終止符を打つかもしれない、重要な知見を得ることとなった。 また、これまでのキネマティック分析だけではフィードバックが難しかった推進力の発揮具合に関して、本研究方法を用いれば客観的なフィードバックが可能となり、効率的な泳法指導につながる可能性の示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでクロール泳のキック動作の役割について、指導現場では様々な推論が立てられてきたが、キック動作が推進力として直接寄与しているか否かを判定する客観的な方法論がなく、水泳研究における長年の課題とされてきた。そこで本研究では、足部推進力を直接定量するのではなく、これまで先行研究で既に検証済みの手部推進力定量法を応用し、キック動作の有無以外の条件を統制した上で、泳速度と手部推進力との関係性から、間接的にキック動作が泳速度向上に寄与するか否かを判定する方法を開発することを試み、その妥当性が検証された。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、2023年度に構築した実験パラダイムを用いて、圧力センサを用いた泳技術の評価とフィードバックシステムを確立させ、より多くの泳者を対象として、動作と発揮される推進力との関係性を検討するとともに、より短時間でフィードバックできるシステムの構築に取り組む。 また、手部への水流刺激が運動学習に及ぼす影響については、「水流刺激による一次運動野(M1)の脱抑制は運動学習を促進する」という仮説を立て、運動学習やリハビリテーション介入の効果を促進する新たなニューロモデュレーションを提案できるように研究を推進する予定である。
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