研究課題/領域番号 |
22K19731
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
深田 宗一朗 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (20432445)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | マイオカイン / 間葉系前駆細胞 / リモデリング / 筋肥大 / マクロファージ / 運動 |
研究開始時の研究の概要 |
マイオカインの多くはサイトカインであり,その場合には血液中にごく微量にしか存在しないため,全く新しいマイオカインを同定することは今のタンパク同定手法を駆使してもかなり困難であり多額の費用を要する。一方で,培養上清からの同定や,因子が特定できている場合には微量であっても血液での検出可能である。申請者の独自の成果である,運動と間葉系前駆細胞の研究や,運動負荷依存的に間葉系前駆細胞が発現する因子の情報を元に,間葉系前駆細胞が直接・間接的 にマイオカイン発現に働く仮説をたて,運動依存的に放出される新規マイオカイン同定を目指した検討を行う。
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研究実績の概要 |
申請者は骨格筋の間質に存在する間葉系前駆細胞 (FAP細胞) が,骨格筋のリモデリングに必須であることを最近明らかにした。さらにFAP細胞は様々な液性因子を発現していることから,直接・間接的にマイオカイン産生に働いている可能性が出てきた。そこで,本申請課題ではFAP細胞が直接・間接的 にマイオカイン発現に働く仮説をたて,運動依存的に放出される新規マイオカイン同定を目指した検討を行った。運動負荷依存的にFAP細胞内で細胞質から核に移行するYAP/TAZをFAP細胞特異的に欠損させたマウスに,外科的に足底筋に負荷を誘導後,その足底筋を摘出し,RNA-seq解析を実施した。比較対象としてコントロールマウスの過負荷足底筋および,両マウスのsham筋も用意し,RNA-seq解析の比較検討を実施した。その結果,コントロール過負荷筋と比較して,FAP細胞特異的なYAP/TAZ欠損マウスでは,コラーゲンをはじめとして細胞外マトリックス蛋白の発現が減少傾向にあった。これは,筋のリモデリングの1つである細胞外マトリックス蛋白の分泌にFAP細胞内のYAP/TAZが機能していることを示唆している。また,マイオカインとしてしられている分泌因子の中で,CCL7やSPARCの発現がFAP細胞で減少傾向を示した。これは,申請者らの以前行った単離FAP細胞によるRNA-seqの結果と一致していた。以上の結果より,これまで申請者が明らかにしてきたFAP細胞による筋サテライト細胞の制御以外にも,過負荷筋においては免疫系の細胞の浸潤や細胞外マトリックを介した筋のリモデリングにも寄与していることが明らかとなった。また,トレッドミルを用いた運動において,最もよく知られているIL-6のタンパク量が増加する事を確認できたため,現在FAPが特徴的に分泌する因子の解析を進めている。
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