研究課題/領域番号 |
22K19738
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
橋本 卓弥 東京理科大学, 工学部機械工学科, 准教授 (60548163)
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研究分担者 |
菊池 直樹 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (10739478)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 筋力トレーニング / 非接触運動計測 / 生理指標予測 |
研究開始時の研究の概要 |
加齢に伴うサルコペニアは深刻なQoL低下を招くため,日常生活の基盤となる筋力の維持は重要である.筋力の維持・向上には,筋に対して直接に負荷を掛ける筋力トレーニングが有効であるが,効果的なトレーニングのためには,適切に運動強度を設定する必要があるため,専門的な知識が必要となる. そこで本研究では,ステレオカメラで得られる深度画像やカラー画像を基に,運動だけでなく,生理指標(筋活動,乳酸値,心拍,血圧)の変化も予測する方法について検討し,それらの情報を基にトレーニング変数を自動調節するための知能化技術の確立を目指す.これにより,個人に最適化されたAIパーソナルトレーニングの実現が期待できる.
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研究実績の概要 |
本年度では,まず,RGB-Dカメラを用いた非接触運動計測システムを構築し,スクワット運動における人間の3次元骨格座標を取得できるようにした.また,得られた運動データを基に,スクワット運動のパフォーマンスを評価するための指標を検討し,トレーナーによる主観評価と比較した.さらに,血中乳酸濃度,表面筋電図,自覚疲労度など,疲労指標の計測も行った.そして,運動データを基に疲労度を推定するための機械学習モデルを構築し,その推定精度を検証した.この他,得られた運動データを基に,筋骨格モデル解析により筋活動を推定する方法についても取り組んだ.その結果.以下の3点の成果が得られた. ① RGB-Dカメラを用いた非接触運動計測により,スクワット運動中の人間の3次元骨格座標を十分な精度で計測できるようになった.また,その骨格座標を用いて重心の運動や関節トルク,床反力を推定できるようにした.そして,複数被検者を対象としたスクワット運動計測実験を行い,それらの推定値から得られた指標を用いて,トレーナーの主観評価の一部を代替できる可能性を確認した. ② 非接触運動計測で得られる運動指標を用いて,血中乳酸濃度,表面筋電図の平均周波数変化,自覚疲労度などの疲労指標を推定するために,ニューラルネットワークを用いた機械学習モデルを構築した.しかしながら,推定精度を検証したところ,汎化性能には欠ける結果となった. ③ 非接触運動計測システムで求められる運動データおよび関節トルク・床反力の推定値を用いて,OpenSimを用いた筋活動解析を行うことにより,スクワット運動中の筋活動を推定できるようにした.また,表面筋電図での計測結果と比較したところ,概ね類似した傾向を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り,RGB-Dカメラを用いた非接触運動計測システムを構築し,人間の3次元骨格座標を計測できるようになった.また,計測した運動データから求めた指標を用いて,トレーナーの主観評価の一部を代替できる可能性があることも確認した.さらに,運動データを基に被験者の疲労度を推定するための機械学習モデルを構築することができた.一方,学習データによっては疲労度の推定精度が低く,汎化性能に欠ける結果となった.また,筋力トレーニング装置の開発に着手することができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の実施状況を鑑み,2023年度では以下の4点について重点的に研究を進める. ① スクワット運動を対象とした筋骨格モデルを構築し,非接触運動計測で得られた運動データを基にリアルタイムに筋張力を推定できるようにする.これにより,表面筋電図を使用しなくとも下肢の筋活動を推定できるようにする. ② 運動情報や筋活動情報から疲労度を推定する際の推定精度を向上させるために,機械学習に使用する指標を再検討する. ③ ①および②で得られる運動情報や筋活動情報,疲労情報を基にトレーニング変数を調整するための方法について検討を始める. ④ これまでに開発してきた筋力トレーニング装置の改良を進める.
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