研究課題/領域番号 |
22K19739
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 新潟医療福祉大学 |
研究代表者 |
江玉 睦明 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (20632326)
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研究分担者 |
佐藤 昇 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00254756)
河上 敬介 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (60195047)
影山 幾男 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (90169392)
田口 徹 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (90464156)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 筋膜構造 / Thiel固定遺体 / Peripherin / 前脛骨筋筋膜 / 浅筋膜 / ホルマリン固定遺体 / 侵害受容線維 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ホルマリン固定遺体を用いて,①肉眼解剖学的に筋膜構造の部位差を解明し,②筋膜構造の侵害受容線維の分布様式を解明することで,筋膜構造の形態学的・組織学的基盤を確立する.さらに,Thiel固定遺体と生体を用いて,③適切な超音波画像の描出部位を確立し,④筋膜構造の違いによる機械刺激に対する各筋膜組織の反応(可動性,痛み)を解明する.そしてこれら研究成果を基にして,筋膜構造の特徴を考慮した最適な運動療法の開発に挑む.
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研究実績の概要 |
本研究では,以下の4つの実験を3年計画で遂行し,筋膜構造の形態学的・組織学的基盤を確立することで筋膜構造の特徴を考慮した最適な運動療法の開発を目指す.具体的には,ホルマリン固定遺体を用いて,①肉眼解剖学的に筋膜構造の部位差を解明し,②筋膜構造の侵害受容線維の分布様式を解明することで,筋膜構造の形態学的・組織学的基盤を確立する.さらに,Thiel固定遺体と生体を用いて,③適切な超音波画像の描出部位を確立し,④筋膜構造の違いによる機械刺激に対する各筋膜組織の反応(可動性,痛み)を解明する. 2023年度は,実験②として「筋膜構造の侵害受容線維の分布様式を解明」に取り組んだ.Thiel固定遺体12体(固定後約1年経過6体,固定後3か月未満6体)の前脛骨筋筋膜を対象に,Peripherin,カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP),タンパク質遺伝子産物9.5(PGP 9.5)をマーカーとして免疫組織化学法によりPeripherin 免疫反応性(ir)神経線維,CGRP-ir神経線維,PGP 9.5免疫反応性(ir)神経線維の定量的評価を行った.前脛骨筋筋膜の近位部,中央部,遠位部の三か所でそれぞれ内側部,中央部,外側部の神経分布を検討した.これまでThiel固定遺体を対象に免疫組織化学法を用いた研究は報告されていないが,PeripherinにおいてPeripherin-ir神経線維を明確に認識することが可能であった.前脛骨筋筋膜において,Peripherin-ir神経線維の分布には部位差が存在することが明らかとなった.また,非常に特徴的な神経終末を観察することができた.Thiel固定を実施して約1年が経過した標本においてもPeripherin-ir神経線維を特定することが可能であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【対象】Thiel固定遺体12体(固定後約1年経過6体,固定後3か月未満6体) 【方法】前脛骨筋筋膜を対象に,Peripherin,カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP),タンパク質遺伝子産物9.5(PGP 9.5)をマーカーとして免疫組織化学法によりPeripherin 免疫反応性(ir)神経線維,CGRP-ir神経線維,PGP 9.5免疫反応性(ir)神経線維の定量的評価を行った.前脛骨筋筋膜の近位部,中央部,遠位部の三か所でそれぞれ内側部,中央部,外側部の神経分布を検討した. 【結果】これまでThiel固定遺体を対象に免疫組織化学法を用いた研究は報告されていないが,PeripherinにおいてPeripherin-ir神経線維を明確に認識することが可能であった.前脛骨筋筋膜において,Peripherin-ir神経線維の分布には部位差が存在することが明らかとなった.また,非常に特徴的な神経終末を観察することができた.Thiel固定を実施して約1年が経過した標本においてもPeripherin-ir神経線維を特定することが可能であった.CGRP-ir神経線維,PGP 9.5-ir神経線維については,特異的に染色することが出来なかった. 【今後】浅筋膜と筋上膜に注目して肉眼解剖学的に分類したタイプ別にPeripherin-ir神経線維の分布様式を明らかにする.また,CGRP-ir神経線維,PGP 9.5-ir神経線維については,条件を検討しながら引き続き染色を試みる.実験①である「肉眼解剖学的に筋膜構造の部位差を解明」もHE染色を用いて継続して実施していく.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は,実験②「筋膜構造の侵害受容線維の分布様式の解明」の続きとして,浅筋膜と筋上膜に注目して肉眼解剖学的に分類したタイプ別にPeripherin-ir神経線維の分布様式を明らかにする.また,CGRP-ir神経線維,PGP 9.5-ir神経線維については,条件を検討しながら引き続き染色を試みる.また,実験③として「 筋膜構造の適切な超音波画像の描出部位の確立」取り組む.対象はThiel固定遺体10体,健常成人10名とする.Thiel固定遺体を用いて,実験①で明らかにしたタイプ別の筋膜構造を超音波装置を用いて描出する.浅筋膜のような強い反射体が存在する場合は,超音波の特性上アーチファクト(虚像)が発生するリスクを伴うため,Thiel固定遺体を用いて実際に剖出した筋膜構造を正確に可視化できるように,プローブの角度や撮影部位を微調整して撮影部位を決定する.そして,生体と整合性をとり適切な超音波撮影部位を確立する.
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