研究課題/領域番号 |
22K19749
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
溝口 博之 名古屋大学, 医学部附属病院, 准教授 (70402568)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 食行動 / 喜び / 神経回路 |
研究開始時の研究の概要 |
「食べる・食事」は生きていくための営みであり、さらに食事を通して他者と時間を過ごすことで人間関係を構築するための手段(会話の助け)としても利用されてきた。しかし、小食という現代社会を生きる私たちは、食がもたらす喜びや育みをさほど考慮しない状況で営んでいる。それゆえ、食行動の意味合いに焦点を当て、食がもたらす喜びはどのように生まれ、食の選択や食を求める行動(食行動)が導かれるのか、食行動の理解を進め、経験と良識を増やすことで食のウェルネス(生きる力)を追及することが重要である。本研究では、食報酬に対する快・喜びと食行動を評価する新規システムの確立と喜びや食行動に関わる脳内神経回路の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
「食べる・食事」は生きていくための営みであり、さらに食事を通して他者と時間を過ごすことで人間関係を構築するための手段(会話の助け)としても利用されてきた。しかし、飽食という現代社会を生きる私たちは、食がもたらす喜びや育みをさほど考慮しない状況を営んでいる。それゆえ、食行動の意味合いに焦点を当て、食がもたらす喜びはどのように生まれ、食の選択や食を求める行動(食行動)が導かれるのか、食行動の理解を進めることが重要である。本研究では、食報酬に対する快・喜びと食行動を評価する新規システムの確立と喜びや食行動に関わる脳内神経回路の解明を目指す。今年度は、超音波測定装置を導入し、報酬獲得時の超音波発声の測定、表情解析、バイオセンサーを用いた報酬獲得時の脳内神経活動を測定するための技術の確立と安定を目指した。まず初めに、超音波マイク装置(Avisoft Bioacoustics UltraSoundGate 116H)と赤外線カメラをADコンバータに接続、PCを介して同期させた。暗室環境下にて半透明の特殊ゲージ(餌を入れるためのカップを固定)を設置し、超音波マイクと赤外線カメラを配置することで、測定環境を整えた。ラットはさまざまな種類の超音波発声をすることが分かっており、約50kHzの超音波発声は正の情動変化と関係があると考えられている。ラットがチョコレートを食した際、約50kHzの超音波を計測することが出来た。雄性ラットと比べると、雌性ラットの方が超音波発声の数が多かった。チョコレート、normalな餌報酬で、超音波発声時における画像を抽出し、目の部分をトリミングし、画像解析を行った。しかし、ビデオカメラと食行動中の表情との位置関係に問題があり、測定環境の再調整が必要であることがわかった。また、食行動中のドーパミン活動を測定することが出来た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.発声による快情動測定:超音波発声測定装置を用いて報酬獲得時の音声を測定した。雌雄差も検討するため、♂♀両方を使用して解析した。♂、♀ともにチョコレート報酬を獲得すると超音波発声が確認できた。ただ、個体間のバラつきがあり、♀ラットの方が発声頻度が高かった。 2.表情解析:チョコレート報酬獲得時の表情解析を行った。前回データでは非常に分かりやすい特徴が目の周囲に現れたが、今回は抽出が難しかった。一つの理由として、個体間のバラつきや安定した表情解析にむけ、報酬であるチョコレートをいくつか試し、前回とは異なる条件で表情解析したことがその要因かもしれない。 3.ドーパミンセンサーによるドーパミン遊離:側坐核・線条体にドーパミンセンサーを発現させ、実験装置内でチョコレート報酬獲得時のドーパミン活動を測定したところ、超音波発声の測定と同期して、活動の変化を測定することができた。今後は活動の意味付けを行う。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、超音波発声装置を導入し、報酬獲得時の発声を抽出することができた。また、バイオセンサーを用いることで、脳内における神経活動を測定できることを確認できた。ただ、個体間のバラつきや安定した表情解析にむけ、報酬であるチョコレートを変更したこともあり、残念ながら表情解析の有意な違いを検出することができなかったので、解析条件を頭部固定にするなど、工夫が必要である。次年度はこれら解析の例数と工夫を重ね、同時測定へと繋げる予定でいる。
|