研究課題/領域番号 |
22K19752
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤野 英己 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20278998)
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研究分担者 |
近藤 浩代 名古屋女子大学, 健康科学部, 准教授 (50333183)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 細胞外小胞 / 気圧刺激 / マクロファージ / 炎症抑制 / エクソソーム / 超音波照射 / 微小血管 / 気圧 |
研究開始時の研究の概要 |
糖尿病の合併症は微小血管障害に起因する微小血管症であり,早期から高頻度に認められる特有な合併症である.気圧変動は骨格筋から細胞外小胞の放出を促進し,気圧変動に伴って放出される細胞外小胞がマクロファージを制御し,糖尿病性微小血管症の毛細血管リモデリングを促進するかを探索する.本研究の目的を達成するために新規に気圧制御ができる細胞培養装置を開発し,細胞による検証を実施し,その結果をもとに糖尿病モデル動物による検証を実施する. 本研究では微小血管症を予防するための新規物理療法の開発を目的として実施する.
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研究実績の概要 |
本研究では糖尿病性微小血管症を予防するための新規物理療法の開発する.物理的な刺激として超音波照射による検証と気圧・酸素濃度変動を制御できる新たな装置を開発することを目的としている.骨格筋細胞に対する超音波照射は細胞から放出される細胞外小胞を増加できることが観察され,放出された細胞外小胞がマクロファージの炎症作用を抑制することが確認できた. 骨格筋由来の細胞外小胞は抗炎症効果をもつことが超音波刺激の結果から明らかになった.一方,超音波刺激は限定した部位に対しては有効であるが,刺激面積が限定される.そこで,低酸素刺激による効果について検証した.低酸素刺激は大量の細胞を同時に刺激する効率的な方法の一つであり,多種の細胞からの細胞外小胞の放出を促進することが可能である.低酸素環境が筋細胞由来の細胞外小胞の放出に及ぼす影響と抗炎症効果について検討した。低酸素環境の酸素濃度について検証し、8%酸素濃度時に効率的に細胞外小胞の放出が亢進されることを観察した,また,低酸素環境に刺激された筋細胞はHIF-1αやRab39bの発現量が増加した.さらに低酸素環境に曝された筋細胞由来の細胞外小胞は正常酸素環境に曝された筋細胞由来の細胞外小胞と比較して,炎症マクロファージの反応を有意に抑制した.一方,低酸素環境下で放出された細胞外小胞濃度を正常環境下で放出された細胞外小胞濃度と同じにすると両者の間に抗炎症効果の差は見られなかった.これらの結果から低酸素環境条件下では筋細胞由来の細胞外小胞が増加することによりマクロファージの抗炎症効果が増強される可能性があることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
超音波照射での検証は予想をしていた通りの効果が観察された.また,新規物理療法機器の開発の基盤となるin vitroでの検証は予想通りに進み,同時に新規物理療法機器の開発を行っている.一方,新規物理療法機器の開発では予想出来なかったエアリークや温度,酸素濃度,二酸化炭素濃度の制御の困難さがあり,計画通りには進まなかった.
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今後の研究の推進方策 |
新規物理療法機器である低気圧低酸素刺激装置の開発は予想出来なかった問題が発生したが,問題を解決して,実験装置がほぼ完成した.本装置が完成することでin vitroでの検証は加速的に進めていくことが可能である.また,in vitroでの研究成果をもとにモデル動物での検証の準備を進め,本年度後半にはモデル動物を使用した検証へ進展させる計画である.
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