研究課題/領域番号 |
22K19760
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
海老原 覚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90323013)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 味覚想起 / 思い出の味 / 食欲 / 嚥下調整食 / 嚥下食 / Pseudo-haptics / 疑似感覚 / プロジェクションマッピング |
研究開始時の研究の概要 |
嚥下障害者に供されるミキサー食等の嚥下食は、もとの料理とは見た目や食感が程遠いものとなり、食欲減退が誘発され、栄養不良ひいては寿命を縮めることとなる。これまで嚥下食に起因した食欲減退には有効な手立てがなく、捨て置かれている状態であった。そこで本研究において、プロジェクションマッピング等の手法を応用し、視覚情報を食欲をそそるものに上書するとともに、時相差制御により食感の疑似感覚を惹起し、脳における感覚統合再生から食欲を回復させることを試みる。そしてそれが嚥下障害者の栄養状態に与える効果を検証する。本研究は、様々な摂食障害に対してのブレークスルーにもなると思われ、全く新しい食事療法の創設となる。
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研究実績の概要 |
摂食嚥下リハビリテーションにおいて、連日のゼリー・ミキサー食・とろみ水などの嚥下食による食欲減退は治療上の大きな障壁である。この嚥下食に起因する食欲減退を防ぐことを本研究の目的とする。嚥下調整食誘発性食欲減退は大きく、形態変化による「見た目」と「食感」に起因する。そこで本研究では疑似感覚を惹起する食事のプロジェクションマッピングシステムならびに味覚想起システムを開発し、「見た目」と「食感」及び「食の記憶」を再生した嚥下食を提供することにより、嚥下障害患者の食欲改善・栄養改善する方法を確立する。プロジェクションマッピングは食事時の嚥下食の入った食器とスプーンを別々にtrackingし、その動きに合わせて料理を仮想現実投影するシステムを開発する。各種パラメータを操作し、プロジェクターにより投影する食事またはとろみ水と食器またはスプーンとに適切な、疑似触覚を惹起する時相差を探索し、主食・副食にあたるゼリー食やミキサー食はスプーン挿入より少し遅らせて形態が崩れるようにし、硬めの食感惹起を試みている。さらに水分においてはとろみの粘度増が水分摂取の妨げになり、脱水を招く結果となるので、流体の移動を実際より早めに投影し、さらさらした食感惹起を試みている。開発すすめるも、陰影の問題や食事が熱せられるなどの問題が生じこれらを克服するのには時間がかかることより、他の方法も同時並行として行うこととした。そこで、嚥下食による食欲減退を防ぐ方法として①プロジェクションマッピングによる方法、②ミキサー処理する前の食事を視覚的に別空間にて認識させる方法、③好きな食事の味覚の記憶を想起させる方法、の3点からのアプローチで進めていったところ、①は技術的問題で進行が緩徐であるが、②、③は非常にすすんでいる。さらに食欲減退予防におけるメンソールなどの香辛料の役割も、その機序とともに研究し大きな成果を得ている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
摂食嚥下リハビリテーションにおいて、連日のゼリー・ミキサー食・とろみ水などの嚥下食による食欲減退を防ぐ方法として①プロジェクションマッピングによる方法、②ミキサー処理する前の食事を視覚的に別空間にて認識させる方法、③好きな食事の味覚の記憶を想起させる方法、の3点からのアプローチで進めていったところ、①は技術的問題で進行が緩徐であるが、②、③は非常にすすんでいる。嚥下回診において②、③の効果は非常に著名に出ており、施設入所高齢者の食事摂取量回復に大きく役に立つことがわかった。さらに味覚想起訓練により、味覚が非常に細かい部分まで改善することを臨床研究により明らかにし、現在論文執筆中である。さらに食欲減退予防における香辛料の役割も、その機序とともに研究し大きな成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
摂食嚥下リハビリテーションにおいて、連日のゼリー・ミキサー食・とろみ水などの嚥下食による食欲減退は治療上の大きな障壁である。この嚥下食に起因する食欲減退を防ぐ方法として①プロジェクションマッピングによる方法、②ミキサー処理する前の食事を視覚的に別空間にて認識させる方法、③好きな食事の味覚の記憶を想起させる方法、の3点からのアプローチを試みる方策で行く。高齢者の食欲減退改善策としてこれらの方向性が正しいことは日常臨床で実感しており、これらを客観的なエビデンスとして証明してくことを今後の推進方策とする。
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