研究課題/領域番号 |
22K19761
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分59:スポーツ科学、体育、健康科学およびその関連分野
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研究機関 | 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所) |
研究代表者 |
澤田 泰宏 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 病院 臨床研究開発部(研究所併任), 臨床研究開発部長 (50313135)
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研究分担者 |
高野 弘二 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 脳機能系障害研究部, 研究員 (00510588)
齋藤 茂芳 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40583068)
崎谷 直義 国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, リサーチフェロー (30824859)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | メカニカルストレス / メカノバイオロジー / 本態性高血圧 / 間質液 / 生体恒常性維持 |
研究開始時の研究の概要 |
脳への物理的刺激による、運動の高血圧改善効果の再現のメカニズムを追究することで、本態性高血圧の病態解明を目指す。これにより、高血圧の治療・予防という観点からの運動の最適化や、肢体不自由障害者や一部の高齢者等、運動したくてもできない者にも適用可能な擬似運動療法の開発の基盤を構築する。さらに、脳内メカニカルストレスの変容という、これまでには想定されてこなかった病因概念を確立し、認知障害や精神・神経疾患等、脳機能低下が関連する他の疾病の病因解明・新規治療法開発への端緒を提供する。
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研究実績の概要 |
メカノバイオロジーに立脚した本態性高血圧の病因追究という本研究の基盤となっている、脳内間質液流動の定量的評価を行った。ラットの延髄の間質腔に蛍光標識したハイドロゲルを導入後、24時間にて安楽死とさせ、脳組織を摘出後、延髄部を切り出し、多光子顕微鏡にて前額面、矢状面、水平面の3平面で観察した。顕微鏡画像の解析は研究分担者高野が行い、研究分担者齋藤が取得した、ラットの脳MRI画像と照合した。ラットの延髄における間質腔は同部の重心線方向に沿って配向することを明らかにした。さらに、高野が多光子顕微鏡画像をさらに詳細に解析し、間質腔の直径について0.10マイクロメートルから0.48マイクロメートルという推定値を算出した。この間質腔直径の推定値をマイクロCTを用いた造影剤のトラッキングによって求めた延髄内間質液の流動速度と合わせ、延髄の神経系細胞に加わる流体剪断力を算出した。 このような間質液の動態の解析に加えて、延髄部の形態を研究分担者が撮像したMRI画像を研究分担者高野がAIを取り入れた手法で解析するという方法で、正常血圧ラット(WKYラット)と高血圧ラット(SHRSP)で比較した。高血圧ラットと正常血圧ラットでは、延髄部(正確には下部脳幹)の長軸が大脳皮質の長軸となす角度が有意に異なるという知見を得た。これは、本態性高血圧の病態に脳の物理的環境・構築的な問題が関与しているという仮説を支持する知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳内間質液流動の態様を把握するための解析方法を確立したことと高血圧ラットにおいて脳の構築学的変容が生じていることを認めた意義は大きく、全体としての進捗は概ね順調と自己評価している。
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今後の研究の推進方策 |
正常血圧ラットRVLMへのゲル導入により間質液流動阻害を介して高血圧が誘導される「脳メカノ原性高血圧ラットモデル」を確立する。正常血圧ラットのRVLMへのゲル導入による間質流動阻害を介する高血圧誘導の条件を検討し、遺伝性高血圧ラットと比較できる条件を決める。正常血圧ラット、脳メカノ原性高血圧ラット、遺伝性高血圧ラットのRVLM組織を生化学的及び組織学的な手法にて比較し共通性と相違を特定する。ゲル導入で生じる非特異的な炎症に関する検討を重点化する。
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