研究課題/領域番号 |
22K19778
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
柴田 裕一郎 長崎大学, 情報データ科学部, 教授 (10336183)
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研究分担者 |
石塚 洋一 長崎大学, 工学研究科, 教授 (50284708)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | プログラマブルアーキテクチャ / 電源回路 / 集積回路 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、カーボンニュートラル時代に向けた革新的高効率コンピューティングデバイスの実現に向け、計算機アーキテクチャと電源回路アーキテクチャを密に融合させた新しいプログラマブルアーキテクチャの創生を目的とする。計算回路と電源回路とをアプリケーションに応じて一体的にプログラムできるアーキテクチャを提案し、試作チップの開発を通じてモデル化を行い、シミュレーションと実機の評価を整合させながらその効果と課題を明らかにする。
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研究実績の概要 |
演算と電力供給を適切に融合させるためには、チップ内部における各演算機構のの電力消費の測定する必要があるが、チップ内部のさまざまなポイントで電流を低コストに測定することは容易ではない。そこで、オンチップのディジタルLDO (Low Dropレギュレータ) を用いて電流を推定する方式を考案し、パワーエレクトロニクス用回路シミュレータで動作の検証し、出力コンデンサの電流が推定精度に与える影響などを明らかにした。また、設計に必要な回路パラメータを決定するためには、LDO内のスイッチの詳細な特性を明らかにする必要がある。そこで、スイッチ群のフルカスタムレイアウト設計を行い、抽出したネットリストを電子回路シミュレーションによって特性を評価し、その構成を検討した。一方、計算と電源供給を密に連携させるためには、計算要素ブロックごとの電力消費モデルの構築が必要である。そこで計算性能の向上に大きく貢献するベクトル拡張演算および分岐予測に着目し、オープンソースの命令セットアーキテクチャRISC-Vについて、分岐予測バッファの構成やベクトル拡張の有無などを変化させた複数のバリエーションをFPGA(機能を変更可能な半導体デバイス)上に実装し、ベンチマークプログラムを実機走行させながら消費電流を測定する実験を行った。複数の電流を測定方法を比較し、消費電力モデル構築のための評価は行うことができたが時間軸上の解像度については限界もあり、前述のLDO方式での電流推定法を実現する意義も再確認された。本デバイスの有力な用途として想定されるエッジ向け機械学習アプリケーションでは、必ずしも厳密な演算処理が必要ではない。精度と性能と電力のバランスをとることで全体を高効率化できるため、交通画像や医療画像の解析処理を題材とし、演算精度の変更や近似処理の導入による影響を評価し学会等で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
商用のカスタムプロセッサ設計ツールを導入し、独自命令や独自構成をもつプログラマブルアーキテクチャおよびそのコンパイラを実装流環境を整備し、それに基づくプロトタイプ回路の消費電力測定実験も行った。LDOによる電流推定回路についてもパワーエレクトロニクスシミュレーションやフルカスタムレイアウト後の電子回路シミュレーションにより特性評価を通じて構成上の改善を図っている。主要用途として想定される機械学習アプリケーショ ンの演算精度と電力の関係性の分析などについても、国際学会での論文発表を行うなど研究課題全体としておおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後はディジタルLDOによる内部電流推定機構とカスタム演算アーキテクチャを組み合わせた実機の評価を通じてその効果と課題を抽出すること目指す。また、並行してプルーフオブコンセプトとなる回路要素の試作チップの実装に取り組む予定である。さらに最終年度でもあることから、研究成果の学会等での発表についても積極的に注力していく。引き続き研究分担者と密に連携しながら推進していく予定である。
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