研究課題/領域番号 |
22K19783
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分60:情報科学、情報工学およびその関連分野
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
前田 忠彦 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (40351324)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 導電性繊維 / 電磁結合給電マイクロストリップアンテナ / アンテナ放射素子の衣類同化 / 背面プローブ給電型マイクロストリップアンテナ / 刺繍形成 / 刺繍構造 / 複共振 / 放射効率 / ウエアラブルアンテナ / 人体近傍 / 共平面給電 / 電磁結合給電 / マイクロストリップアンテナ / パッチアンテナ / 電磁給電 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,人体の運動や衣類の装着に起因するアンテナ形状変化を含めて衣類埋設型放射素子を電磁界解析する要素技術を開発する.また,導電性繊維を衣類埋設型放射素子構成の基本要素として採用し,人体の影響を受けにくい放射素子構造と超広帯域型放射素子構造を実現する刺繍構造の検討を進める.さらに,人体に密接装着されるフレキシブル・コンフォーマル構造のアンテナ・システム実現のためのシステム要素技術を開発する.
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研究実績の概要 |
「アンテナ素子の衣類同化技術」とは,衣類に求められる収縮性・柔軟性を損なわず,導電性であるアンテナ素子を衣類に同化埋設する要素技術であり,本萌芽研究の主題と位置づけられる.研究2年目である2023年度の研究では,まず,電磁結合給電型マイクロストリップアンテナの共振周波数と構造パラメータを関連付ける実験式の適用範囲と入力パラメータ増加により実験式の精度を高める手法を検討した. また,導電性繊維で形成するアンテナの電気特性安定化のための要因について,複数の放射素子形式を取り上げ検討をおこなった.特に,これらの放射素子の刺繍形成時における刺繍構造が電気特性に与える影響を分析した.さらに,損失性の複共振が発生する条件について,後方放射の少ないパッチアンテナの刺繍構造に関する研究を遂行した.具体的には,給電方式として,1)背面プローブ給電型マイクロストリップパッチアンテナ、および2)電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナの放射素子について電気特性安定化のために電気特性劣化の要因分析を進めた. 導電性繊維で構成されたマイクロストリップパッチアンテナでは,複数の給電形式に対して損失性の複共振の発生が発生することに注目し,この要因分析を行った.また,背面プローブ給電における給電部近傍の高周波接続確実性がアンテナの電気特性に与える影響の評価を行い,集中定数的な給電方式の課題を明らかにした. 一方,電磁結合給電型マイクロストリップパッチアンテナでは,電気特性・安定化の要因として,給電線路からの放射素子への励振が分布定数的に実現されていることに着目し,これを応用する刺繍形成構造を検討した.この結果,アンテナ放射素子および地板形成の導電繊維交差部の高周波電流の流路確保のために,導電性繊維で刺繍形成するアンテナの直交電流の流路を分布定数的な結合により実現するための新しい刺繍構造の着想を得た.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず,2022年度に提案した刺繍構造に対して、電気特性の再現性と安定性の評価を進めた.具体的には,複共振が発生する要因について電気特性の再現性を評価することで,導電繊維で刺繍形成する面状放射素子の損失発生要因を分析した.この研究過程で交差部の接続性を分布定数的に確保する刺繍構造の着想を得た.さらに,「端末所持を意識させないネットワーク構築」をモチーフとし,フレキシブル・コンフォーマルなアンテナ形成空間を提供することを目的として,刺繍形成された放射素子の形状変化がアンテナの電気特性に与える影響の評価を進めた.今後は,刺繍構造と放射素子上の電流分布の関係を分析することで,刺繍構造が放射効率に与えるメカニズムの分析につなげてゆく. 2022年度に実験的に確認された複数の放射素子の電気特性を,計算により把握することを目的として,シミュレーションの適用領域について検討をすすめた. 具体的な手法としては,導電率や寸法などのパラメータを変化させ,計算上で実験結果を有効に模擬できるシミュレーション条件と,その適用可能領域について分析をおこなった. この研究過程では,1)背面プローブ給電方式、2)電磁結合給電方式、および3)広帯域型放射素子のシミュレーション条件に注目した検討を進めた. また,格子形状による放射素子および地板の導電繊維削減方式について検討し,交差部の高周波接続性の確保を必要としない刺繍形成構造の着想を得た.提案刺繍構造は,直線格子構造とL型刺繍構造を組み合わせた刺繍形成法であり,直線格子構造による直線的な高周波電流の流路を確保し,L型刺繍構造により分布定数的な結合により交差部の電流流路を確保できる可能性がある.このため,複数のアンテナ形式について,具体的な刺繍形成の形状を策定する基礎的検討を行った.今後,当該提案構造の具体的な電気特性を把握するため,実験を含めて評価を進める.
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は本研究の最終年度であり,「アンテナ素子の衣類同化技術」創成のために重要なコンセプトである衣類に同化するコンフォーマルなアンテナ形成空間を提供するための要素技術の開発に注力する.このためには,アンテナ放射素子が衣類に装着された条件下での電気特性安定化を図るための刺繍構造の開発が必要である. 2023年度までの研究で,直交する導電性繊維の交差部における接続性を確保するためには,集中定数的な解決法の探索よりも,電磁給電型マイクロストリプアンテナの給電構造で見られる分布定数的接続が有利であることが明らかになっている.このため,新しい刺繍構造を導入することで,電気特性の再現性と安定化を図れるアンテナ放射素子の形成方法を検討する. このために,以下の2つの条件の下で具体的な刺繍構造の探索を行う.1)まず,刺繍密度を上げることで導電性繊維交差部の接続性を確保する方針から,分布定数的な結合により接続性を確保できる刺繍構造を導入する.この方向性に基づく,シミュレーションと実験を行うことで,提案刺繍構造の電気特性を評価する.2)また,刺繍量削減のために格子状に形成される放射素子および地板の格子状交差部において,接続点の高周波接続性の重要度の分類を行い,重要度の高い交差部近傍に交差部において分布定数的な補助電流経路を形成する追加刺繍形状を検討する.これらにより刺繍量の削減と電気特性の再現性・安定性を両立できる具体的な刺繍構造を探索する. また,コンフォーマルなアンテナ形成空間を提供するため,衣類の変形に伴うアンテナ放射素子,地板,および伝送線路の形状変化に注目し,形状変化に伴う電気特性変化を補償できる刺繍素子構造を探索する方向の研究を進める.併せて,広帯域型の放射素子に対する衣類の変形と人体による影響の評価を進めることで,衣類に同化するアンテナ放射素子の高度化の研究を推進する.
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