研究課題/領域番号 |
22K19792
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
榎堀 優 名古屋大学, 情報学研究科, 講師 (60583309)
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研究分担者 |
間瀬 健二 名古屋大学, 数理・データ科学教育研究センター, 教授 (30345855)
吉田 直人 工学院大学, 情報学部(情報工学部), 助教 (40836714)
米澤 朋子 関西大学, 総合情報学部, 教授 (90395161)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 感性伝達 / 伝統的工芸品 / 価値判断基準分析 / 感性背景分析 / 地域間比較 / 文化間比較 / 感性価値 / 伝統工芸 / 感性翻訳 |
研究開始時の研究の概要 |
伝統的工芸品をはじめとする製品・作品の真の価値である,受け手の感受性や受け取り方に依存する価値である「感性価値」について,如何に情報工学的アプローチで伝達可能とするかを追求する。予備研究から得られた知見を基に,取り扱い動作の模倣などで共通化された客観共有可能特徴量と,伝達される感性価値の関係を,異なる感性価値背景(文化や教育,宗教観,知識など)を持つ集団(日本国内の地域別または世代別の集団)間で比較して,感性価値伝達の仕組みを解明する。研究進捗によっては,感性価値背景の大きく異なる国際集団間の感性価値伝達の端緒をつかむことも視野に入れ,感性価値翻訳までの道筋を立てることも目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は,伝統的工芸品をはじめとする製品・作品の真の価値である,受け手の感受性や受け取り方に依存する価値である「感性価値」について,如何に情報工学的アプローチで伝達可能とするかを追求する。 研究計画立案当初からの変遷により,本課題は下記の3視点から目標の実現に向けて推進している.(1): 茶筒の開缶時の圧力値変化の統一によって利用者が受ける感触を統一し,そこから受ける感覚の関係に付いて分析する.(2): (1)によって計測される利用者が受ける感覚を,文化背景などの感性背景が異なる地域間(名古屋,東京,関西を想定)で比較し,感性背景と受ける感覚の関係について分析する.(3): 作り手や利用者の良悪判断結果を学習した深層学習機の中間層可視化結果比較などから,それぞれの感性判断基準について明らかにする. R4年度は,全項目について堅実な進捗が得られた.特に(3)については,飛躍が見られた.開缶動作から受ける感性値については,受動感触統一により近接する動きを見せる共通感性,離散する個人感性の別があることが示唆された.R5年度は分析を深化させて論文としてまとめる.なお,これは単一の地域における実験結果からの導出である.(2)の実現に向けては,同様の分析を感性背景の異なる地域間で実施する必要がある.R4年度は名古屋地区および東京地区のデータ収集が終了した.R5年度には関西地区のデータも集積し,地域間比較の分析を進める。(3)については,朝日焼の焼き物および中川木工芸の組み木細工について,それぞれ400件あまりの作品のデータ化および評価値付与が完了し,また,作り手の評価視点/評価方法のヒアリング結果を反映した深層学習機が,一般的な方法の深層学習機よりも高い精度を示すことを示した.R5年度は,その中間層可視化などにより,感性判断基準が何に起因している感度を明らかにする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画から予定してた茶筒の開缶動作時の受動感触統一による受動感性値の分析および異なる文化背景を持つ地域間のデータの収集のみならず,新たに着手した良悪判断識別機を用いた感性判断基準の解明に向けて着実な進捗がある.新たに着手した実施項目については,朝日焼の焼き物および中川木工芸の組み木細工について,それぞれ400件あまりの作品のデータ化および評価値付与が完了しており,今後の分野発展に向けた寄与も大きい.また,データ化および評価値付与の基礎フレームワークが定まったことにより,以後の年度においても多数のデータが積み増されることが想定され,様々な発展も予想される.
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今後の研究の推進方策 |
茶筒の開缶動作時の受動感触統一による受動感性値の分析については,異なる文化背景を持つ地域間の比較に推移していく.残る関西におけるデータ収集を推進すると共に,名古屋および東京地区においてもデータを積み増し,分析を進める. 良悪判断識別機を用いた感性判断基準の解明においては,データ量を積みますと共に,中間層可視化による感性判断基準の起因分析を進める.
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