研究課題/領域番号 |
22K19794
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
遠藤 孝浩 京都大学, 工学研究科, 准教授 (70432185)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 触知覚 / 確率共鳴 / 指先触感覚の高感度化 / ノイズ / 触診 |
研究開始時の研究の概要 |
人間にノイズを与えることで指先触知覚を向上させる確率共鳴において、ノイズ付与部の触覚受容器の特性を用いることで、指先触感覚を格段に高感度化させる手法を構築することを目的とする。具体的には、ノイズ付与部を冷却することでその感度を減退させ、大きなノイズを与えることで確率共鳴現象の強化を試みる。このために、手首部の知覚感度低下特性の解明、指先触感覚の高感度化手法の実現について研究開発を行う。
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研究実績の概要 |
ノイズを与えることで触感覚を向上させる、既存の確率共鳴を用いた指先触感覚向上法には、その向上に限界があった。十分大きなノイズを付与すれば感度は良くなるが、ノイズ付与部で知覚できるほど大きなノイズを与えると、人の注意が付与部に向くため、指先触感覚は逆に低下する。本研究の目的は、ノイズ付与部である手首の感度を低下させ、人の注意を引かずに大きなノイズを付与することで確率共鳴現象の強化を試みることである。そして、指先触知覚を高感度化させる手法を構築することである。特に本年度は、ノイズ付与部である手首部の知覚感度低下特性の解明を行った。 申請者はこれまで、手首に微小な白色ガウスノイズを与えることで、指先の触感覚を向上させる確率共鳴現象を研究してきた。本研究においても、ノイズ付与部として、手首部を検討した。そして冷水や氷等で手首部を冷やし、手首部における機械ノイズ(確率共鳴用の白色ガウスノイズ)に対する閾値を計測した。特に、様々な手首温度および白色雑音ノイズに対する知覚実験を通し、手首における温度依存特性をはじめとした手首部感度低下特性を検討した。結果として、手首部を冷却すると、手首における機械ノイズに対する感度が低下することが示された。このため、人の注意を引かずにノイズ提示部である手首部に大きなノイズを付与できることが明らかになった。またこの時、指先における変位を計測することで、指先に大きなノイズを伝播できることも明らかになった。なお、手首部を冷却すればそこでの感度は低下するが、冷やしすぎると被験者への負担になる点に注意が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、(1)手首部の知覚感度低下特性の解明、および(2)指先触感覚の高感度化手法の実現についての研究開発を行い、これらを通して、研究目的の達成を目指している。交付申請書における本年度の目標は、(1)手首部の知覚感度低下特性の解明、に関する研究を行うことであった。現在までの進捗は、以下の通りである。 ノイズ付与部である手首部を冷却することで、手首における機械的な白色ガウスノイズに対する知覚感度が低下することを明らかにした。これにより、人の注意を引かずに、大きなノイズをノイズ提示部に付与できる。またこの時、指先における変位を計測することで、指先に大きなノイズを伝播できることも明らかになった。なお、ノイズ提示部である手首を冷却した場合と冷却しない通常状態において、指先における触知覚を簡単な実験により計測した。実験より、手首部冷却時の方が大きなノイズを手首部に与えられるため、指先感度が良くなることが示された。このように、現在までの進捗状況は、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策として、本年度の知見に基づき、指先触感覚を高感度化させるシステムの構築を行う。
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