研究課題/領域番号 |
22K19795
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
杉本 靖博 大阪大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70402972)
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研究分担者 |
青沼 仁志 神戸大学, 理学研究科, 教授 (20333643)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | 闘争行動 / コオロギ / 小型ロボット / ソーシャルディスタンス / 昆虫の闘争行動 / 運動への介入 / 自律分散システム |
研究開始時の研究の概要 |
雄コオロギは他雄個体と遭遇すると闘争行動を行う.群れの中で闘争行動は局所的に発生するが,各個体が総当たりしなくても,全体の優劣関係が構築されるとともに攻撃性の高い個体の出現率が調整されることで,各個体が群れの中でのソーシャルディスタンスを適切に保つ状態が生成される.本研究ではその生成メカニズムを,電気刺激することによる攻撃性への介入や小型移動ロボットを用いた闘争行動への介入といった新奇な手法を用いることで,明らかにすることを目的とする.本研究の成果は,個体間の局所的な相互作用から秩序だった全体の挙動が生成されるメカニズムを明らかにし,大規模システムの新規な自律分散制御を構築することに繋がる.
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研究成果の概要 |
本研究では,コオロギを含む昆虫が見せる闘争行動に着目し,コオロギが個体間の局所的な相互作用を通じて,自律的な個体の行動がどのように集団全体の振る舞いに秩序を創発するかを明らかにするべく研究を行った.コオロギの闘争では,勝敗が着くと勝ち個体は攻撃性を維持し,敗者は攻撃性を減衰する(負け効果と呼ばれる).そこで,コオロギの闘争行動にロボットにて介入するシステムを構築し実験を行ったところ,負け効果を持つコオロギの行動を変容させることができた.また,負け効果からの回復メカニズムを検証したところ,負け効果からの回復には,他個体との接触刺激の他,視覚刺激が重要な鍵を握ることが示唆される結果が得られた.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では,コオロギが個体間の局所的な相互作用を通じて,自律的な個体の行動がどのように集団全体の振る舞いに秩序を創発するかを明らかにするため,小型移動ロボットにて闘争行動に介入できるシステムを構築した.そして,そのシステムにて対象個体の闘争性を変化させることができることを確認した.従って,構築したシステムにより,対象個体の闘争性を変化させ,個体間の秩序形成の促進および阻害が可能となり,より深い秩序形成メカニズムの理解に繋がっていく.また,このような外部からの介入手法が有効であることは,今後,コオロギ同士の闘争行動解明を含む様々な生物の行動解析において,有用な知見となりえると考えられる.
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