研究課題/領域番号 |
22K19796
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
清川 清 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (60358869)
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研究分担者 |
森本 壮 大阪大学, 大学院医学系研究科, 寄附講座准教授 (00530198)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | アルツハイマー病 / 光刺激治療法 / 無知覚フリッカ / ウェアラブル / 頭部搭載型デバイス / アルツハイマー / 無知覚光刺激 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では光刺激療法を日常生活で継続的に実施するために,光刺激が知覚されにくく他の作業を行いながら使用できる軽量小型の頭部搭載型光刺激デバイスを開発する.本研究により常時安価で安全な光刺激療法を受けられるようになれば,世界中のアルツハイマー病患者にとって郎報となるばかりか,健康寿命延伸や医療費削減など絶大な社会経済的波及効果がある.
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研究実績の概要 |
近年,アルツハイマー病(AD)が社会的課題である.その有効な治療法はいまだに存在せず,AD患者数は年々増加している.現在は薬剤による対症療法が主流だが,副作用や金銭的負担などを背景に治療満足度は極めて低いことが知られている.この問題を解決するために,光刺激治療法が注目されている.これは約40Hz で点滅する光刺激を提示することで脳波のガンマ周波数帯を誘導し,認知機能の改善を目指す治療法である.この治療法は副作用が少ないこと,金銭的負担が軽いことが特徴で,ADの治療満足度向上に有効であると考えられる.また,この光刺激治療法は継続性が重要であることが知られており,毎日1時間の治療を継続して行うことが推奨されている.しかし点滅する光刺激は非常にわずらわしい上にデバイスの制約によってながら作業ができず,治療継続性に悪影響を及ぼすことが懸念される.そこで令和4年度は,治療継続性の高い光刺激治療が可能なデバイスを開発することを目的とし,周辺視野にISF(Invisible Spectral Flicker)刺激と呼ばれる低ストレスな光刺激を提示するグラス型デバイスを検討した.実際にISF刺激を生成可能なプロトタイプを作成し,次の2 つの実験を行った.一つは各LED光のフリッカ周波数・輝度・色・スペクトルについて必要な要件を満たしていることを確認するための光特性評価実験である.もう一つは,生成するISF刺激のフリッカ強度が点滅刺激のフリッカ強度よりも有意に低下することを確認するためのフリッカ強度評価実験である.実験の結果,本デバイスの光刺激は必要な要件を満たしており,ISF刺激のフリッカ強度は点滅刺激と比較して有意に低下することが分かった.この結果は,本デバイスが光刺激治療の継続性を高めることができる可能性を示唆している.また,本内容を国内研究会にて口頭発表し,優秀論文賞を受賞した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度は,治療継続性の高い光刺激治療が可能なデバイスを開発することを目的とし,周辺視野にISF(Invisible Spectral Flicker)刺激と呼ばれる低ストレスな光刺激を提示するグラス型デバイスを検討した.実際にISF刺激を生成可能なプロトタイプを作成し,そのフリッカ強度は点滅刺激と比較して有意に低下することが分かった.この結果は,本デバイスが光刺激治療の継続性を高めることができる可能性を示唆している.2種類のLEDを交互に点滅させて,全体として点滅を感じにくい(定常光に近い)光刺激を実現することができた.また,本内容を国内研究会にて口頭発表し,優秀論文賞を受賞することができた.本研究の根幹となるアイデアを実証でき,学術的にも高い評価を得たことから,研究計画は順調に進展していると言える.ただし,1)完全には点滅を無知覚にできていない点,2)その結果脳波の40Hz帯のパワーが実際に増加するのかを検証するには至っていない点,が令和5年度への課題として残っている.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は,令和4年度に制作したプロトタイプを改良し,以下の3点について重点的に調査していく. 1)完全な無知覚光刺激の実現:現在のプロトタイプの光刺激は単純な40Hzの点滅刺激に比べれば知覚しづらくなっていることを確認しているものの,完全には無知覚ではない.これは2種類のLEDの取り付け位置が空間的に異なっていること,LEDが時間方向で輝度ムラを生じていることなどが原因と考えられる.令和5年度はハーフミラーやディフューザを活用して空間方向の輝度変化を抑制するとともに,より周波数の高いデバイスドライバを用いて時間方向に正確な輝度制御を行うことで改善を試みる. 2)無知覚光刺激は理想的には環境光に溶け込むかたちで眩しさを感じずに利用できることが望ましい.そこで,環境光の照度をセンシングし,無知覚光刺激の全体の輝度を環境光にマッチさせることで視覚的煩わしさをさらに軽減することを検討する. 3)脳波の40Hz帯のパワー変化の確認:別予算で導入した脳波計を活用し,無知覚光刺激によって実際に脳波に期待する変化が現れるのかを検証する.
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