研究課題/領域番号 |
22K19812
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
井野 秀一 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70250511)
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研究分担者 |
土井 幸輝 同志社女子大学, 生活科学部, 教授 (10409667)
細野 美奈子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 情報・人間工学領域, 研究員 (70647974)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 水素吸蔵合金 / ソフトアクチュエータ / ヒューマンインタフェース / QOLテクノロジー / 異分野融合 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,QOL(Quality of Life)テクノロジーに資するシンプルな仕組みの「形状自在・軽量ソフトアクチュエータ」(薄型・高出力モーションデバイス)の新技術創成に挑戦する.このアクチュエータの力生成の機能性素材には水素吸蔵合金を採用し,伝統的な製紙技法と先端的な水素バリア技術などを探索融合して,人間支援の機能実現に向けた基礎研究を進める.さらに,横断的な「福祉・医療」×「ものづくり」の異分野融合と現場連携によるトランスレーショナルな仕組みづくりを織り交ぜながら,人々のQOLの維持・向上のための生活支援分野への応用研究に発展させる.
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研究実績の概要 |
本研究では、低圧でコンパクトに水素を貯蔵できる水素吸蔵合金と紙づくりの技術を融合的に活用して、QOL(Quality of Life)テクノロジーに資する形状自在・軽量ソフトアクチュエータ(薄型・高出力モーションデバイス)の研究開発に取り組んでいる。本年度は、昨年度に引き続き、ソフトアクチュエータの駆動力生成の基幹である水素吸蔵合金のシート化技術の開発、福祉・ヘルスケア分野への応用に向けたヒューマンインタフェースの基礎研究として、点字ディスプレイや立ち上がり動作をサポートするアクチュエータの設計基準を得るための人間計測実験を行った。水素吸蔵合金のシート化では、紙の主原料であるパルプ材と合金粉末にカーボンファイバーを添加した水素吸蔵合金ペーパーを製作し、評価実験を行った。その結果、合金ペーパーは、合金粉末の状態に比べて加熱・冷却に対する圧力生成の応答性が高まり、シート化による形状の自在性に加えてアクチュエータの駆動性にも好影響を与えることがわかった。また、福祉・ヘルスケア分野への展開のための人間計測実験では、点字の触読性を定量評価するコンパクトな手指動作計測システムを開発し、点字ディスプレイ向けの小型アクチュエータに求められる条件などを調べ、指先での凹凸の探索動作に伴う知覚特性に関する評価も行った。さらに、高齢者のトイレでの立ち上がり動作を支援する簡便な便座傾斜システムとエアバッグ型アクチュエータの開発に向けた基礎実験を行った。その結果、便座の傾斜角度の増加とともに、下肢筋等における生理的な負担軽減と心理的な立ち上がりやすさが向上することがわかり、傾斜システムの人間工学的な有用性が示唆された。その他では、水素吸蔵合金ペーパーを用いた小型圧力生成デバイスの試作や素材探索などを進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度に引き続き、ソフトアクチュエータの新技術開発の土台となる水素吸蔵合金とその関連の基盤技術の開発に取り組んだ。具体的には、製紙技術を活用した水素吸蔵合金ペーパーの設計と実験サンプルの製作、水素吸蔵合金ペーパーを用いた小型圧力生成デバイスの開発と圧力応答性などの評価実験を行った。さらに、合金ペーパーを用いたソフトアクチュエータの福祉分野での応用展開に向けた人間計測実験を感覚代行システム(点字ディスプレイ)や介護支援・リハ機器(便座傾斜システム)などを対象に進めた。以上より、水素吸蔵合金アクチュエータの基盤技術の研究推進に加えて、応用技術(福祉系)に関連した人間計測の研究フェーズにも着実に進んだことから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
水素吸蔵合金を用いたソフトアクチュエータの新技術開発をコアとなる要素技術研究(水素吸蔵合金ペーパーの試作開発と機能評価、シート化に適したパルプ材と合金粉末などの混合レシピの選択、フレキシブル素材の探索など)の組み合わせにより深化させる。また、「福祉・医療」×「ものづくり」の異分野融合での展開(機器デザイン)に向けた水素吸蔵合金アクチュエータの人間計測研究を同時に推進する。そして、形状自在・軽量の新奇なソフトアクチュエータのプロトタイプ開発を進め、水素吸蔵合金のQOLテクノロジー分野への橋渡しの端緒をつかむ。
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