研究課題/領域番号 |
22K19819
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分61:人間情報学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
西田 知史 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (90751933)
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研究分担者 |
宮原 克典 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 特任講師 (00772047)
新川 拓哉 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (20769658)
濱田 太陽 株式会社アラヤ(研究開発部), 研究開発部, リサーチャー (40842258)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | リアリティ欠如 / 認知的作用 / 脳計測 / fMRI / 現象学的インタビュー / 生成画像 / 不自然 / 学際的アプローチ / リアリティ / 自然さ / 認知 / 脳 / AI / 質的研究 / ロボット / サイバー情報 / 神経科学 / 現象学 |
研究開始時の研究の概要 |
サイバー情報がもつ知覚の不完全性や現実世界との分断は情報のリアリティ欠如をもたらす。リアリティ欠如に伴う認知的変容が不快感や共感性低下を生じさせてサイバー社会の問題を引き起こすという仮説を立てて、脳科学と哲学のアプローチを用いて探究する。脳科学的アプローチでは、リアリティ欠如は脳の機能的な安定性と結合性の低下を伴うと予想し、脳計測実験で予想の検証を行う。哲学的アプローチでは、リアリティ欠如は情報内容に対して身体的な関係性を構築できていない状態だと解釈し、理論的に追及するとともに、その理論の妥当性を認知実験中の被験者から主観的経験に関する報告を収集することにより検証する。
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研究成果の概要 |
リアリティ欠如に関わる認知的変容および認知的要因について、脳科学と哲学の融合アプローチを用いて探求を試みた。脳科学的アプローチでは、リアリティの欠如が後頭皮質内側部の脳活動において個人間の再現性を低下させることが分かった。しかし、被験者内ではそのような再現性の低下が見られず、示唆に富む観測をもたらした。哲学的アプローチでは、生成画像に感じるリアリティ欠如を生む認知要因を、独自のインタビュー法を用いて詳細に収集した。様々な認知要因が確認できた一方で、体系的な理解はまだ得られておらず、分析を今後進めることによって、リアリティ欠如を生む認知要因に関して新規性の高い発見が得られると期待している。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
情報に対するリアリティの欠如は、サイバー空間とリアル空間の境界が曖昧になってきている昨今の社会において、避けては通れない問題である。そういったリアリティ欠如は、サイバー情報が氾濫する未来社会において、人々の生活や関係性を不健全にする危険性をはらんでいる。本研究課題の試みはまだ大いに発展の余地を残すものであるが、そのようなリアリティ欠如に伴う多様な問題に対して解決の糸口をつかむ可能性を秘めた重要なものであると言える。脳科学と哲学を組み合わせてリアリティの欠如を探求する試みは独自性が高く、今後の継続的な探求によって、リアリティ欠如をもたらす認知機序に対して深い理解が得られると期待している。
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