研究課題/領域番号 |
22K19827
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分62:応用情報学およびその関連分野
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
大瀧 友里奈 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50422382)
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研究分担者 |
大塚 玲 情報セキュリティ大学院大学, その他の研究科, 教授 (50415650)
中田 亮太郎 一橋大学, 情報基盤センター, 講師 (10943566)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | AI / 水道使用量 / ビッグデータ / ディスアグリゲーション / データ利活用 / 行動別水使用量 |
研究開始時の研究の概要 |
内閣府の第5期科学技術基本計画において日本が目指すべき未来社会の姿として提唱されたSociety5.0では、「センサー情報からのビッグデータ解析による新たな価値創造」が打ち出されているが、水道使用は、生活の実態を表す有益な情報を内包しているにも関わらず、活用可能なデータが存在しないため、新たな価値を考える土俵にもあがることができていない。 そこで本研究では、水使用量の経時データを秒/分単位で把握するシステムを開発し、そこからのデータを用いて、行動別水使用量に分解することで家庭の生活様式や居住者の健康状態に関わる情報を抽出することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、AIを活用し、リアルタイムに近い形で、家庭での全水道使用量を行動別水使用量に分解する(以下、ディスアグリゲーションとする)技術を開発し、生活者の行動(入浴、炊事、トイレ等)を把握することができるビッグデータを創出することを目的としている。現在の日本での水使用量の把握方法はアナログ的であり、水道使用量は1-2か月に一度、検針員がメータを確認することで把握されているため、1-2ヶ月の累積データのみが収集されている。また、水道スマートメータの導入が検討されているが、実証段階にとどまっている。 アメリカでは近年、水道配管の外に簡易に設置でき、秒単位の瞬時流量が計測できる機器が開発されるなど、リアルタイムに近い形で各家庭の水道使用量が把握できるハードウェアが導入されつつあるが、配管口径や素材が異なるため、日本でそのまま使用することが難しい。そのため、水道メータの動きをビデオカメラで撮影し、そこから1秒毎の水使用量を把握する装置とソフトを開発した。しかし、1秒毎の水使用量だとバッテリーの問題から1日強のデータ測定しかできないという問題が生じたため、将来的な活用を見据えて、使用量の計測頻度を大きくし、計測期間を長くする装置とソフトの開発にも取り組んだ。 機械学習によるディスアグリゲーション手法の開発については、電力量の時系列データから用途毎の波形に分解する問題に対するソリューションとしてAAAI(Association for the Advancement of Artificial Intelligence)2018から提案されている手法、seq2point [CMZ+18]を水使用量データに活用する可能性について検討し、一定の成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
水使用量を計測するための装置とソフトの開発に時間を要した。特に、水道メータが屋外にあるため電源供給が難しくバッテリーに頼らざるを得ないこと、戸建ての場合に水道メータが地中に存在しておりビデオカメラの設置が難しく防水対策も必要となること、が開発上の大きなネックとなった。 機械学習については、水の使い方の個人差、家庭差が非常に大きいため、過学習しやすく、想定する精度が出てこないという問題が生じている。また、1秒データから、5秒→10秒→20秒→30秒と粒度を粗くしていくことを目標としているが、粒度に対して指数関数的に精度が落ちていくという問題に直面している。
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今後の研究の推進方策 |
家庭での水道使用量データの収集については、装置とソフトの開発が終わったので、家庭全体の使用量についてのデータ取得を行っていく準備はできたが、用途別の使用量を把握するための手段を開発する必要がある。伝統的には、Water Diaryをつけてもらう方法があるが、より被験者に負担が少ない方法を検討する。合わせて、GAN(Generative Adversarial Networks)による、データ生成も検討する。 機械学習については、データの変換、分析手法のブラッシュアップを行っていく。さまざまな家庭に適応できるよう、細かな特徴を捉える注意機構(Attention Mechanism)等の組み込みを検討する。そのうえで、粒度をあげていくことを検討していく。
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