研究課題/領域番号 |
22K19841
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
彦坂 幸毅 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (10272006)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | リモートセンシング / 葉群光合成 / クロロフィル蛍光 / 光化学反射指数 / 群落光合成 / スペクトル / 葉角 |
研究開始時の研究の概要 |
群落光合成速度の計算には、個葉が受ける光強度と光合成能力の情報が必要である。ハイパースペクトルカメラ(HSC)により、個葉からの光の強度と波長組成から様々な情報を得られるが、個葉の角度を考慮した補正が必要となる。偏光カメラにより、個葉の角度を実測することができる。本研究では、HSCと偏光カメラの同時観測システムを構築し、群落光合成速度を高精度で推定することを目指す。
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研究実績の概要 |
植物の光合成やストレス状況を迅速にモニタする技術が必要とされている。これは、人口増加対策としての農業増産や地球環境変化による悪条件下での農業生産の向上に貢献する。広範囲かつ多数の個体を評価するためにはリモートセンシングが必要である。近年、クロロフィル蛍光と光化学反射指数(PRI)が植物の光合成速度やストレス状況の検出方法として注目されている。共に、光合成系の状態を反映して変化するパラメータであり、研究代表者は蛍光とPRIから光合成速度を推定するモデルを提案した(2019)。 ハイパースペクトルカメラ(HSC)は、二次元の位置情報を持った画像に加えて、波長の情報を取得することができる。また、偏光カメラは被写体、つまり葉の傾きの情報を得ることができる。そこで着想したのが、ハイパースペクトルカメラと偏光カメラの情報からフィルターをかけることにより葉群最上部の葉のスペクトルと角度の情報を抽出し、その葉が受ける光強度と光合成速度を正確に推定する、という手法である。これが可能になれば、リモートセンシングにより高精度で葉群光合成速度を推定できると期待できる。また、情報は個葉レベルで得られるため、病害虫などの局所的なストレスの検知にも利用できると期待される。 本研究では、以下の方法で葉群光合成速度を推定する方法を開発する。HSCと偏光カメラで葉群を同時に撮影し、画像を共有するシステムを構築する。②放射伝達モデルを用いて葉から発せられる光強度とその葉がうける光強度の関係を数式化し、各ピクセルの葉が受けた光合成有効放射を推定する。最上部の葉を含むとピクセルを選択し、クロロフィル蛍光とPRIを得る。研究代表者が発表したモデルを使い、クロロフィル蛍光とPRIから最上部の葉の光合成特性を推定する。De Puryのモデルを用いて葉群光合成速度を計算する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初研究を行う場として農研機構の人工気象機を利用する予定であったが、当該年度は稼働しないことがわかり、急遽沖縄農業研究センターの温室を利用して行うこととした。予定外ではあったが、センター職員の協力を得て順調に観測を行い、HSCで撮影したオクラの光合成速度を精度良く推定できることがわかった。 放射伝達モデルを作成し、理論面の研究も順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
HSCについては問題なく観測できることがわかったため、偏光カメラ観測データとの同期と葉角情報の導入を行う。まずは、条件の良い葉の情報を切り取って光合成の推定を試みる。早く進めば、次のステップとして、放射伝達モデルを用いた葉群全体の光合成推定も行う。
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