研究課題/領域番号 |
22K19842
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
市井 和仁 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (50345865)
|
研究分担者 |
小槻 峻司 千葉大学, 環境リモートセンシング研究センター, 教授 (90729229)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
|
キーワード | リモートセンシング / 地表面温度 / 高頻度観測 / 日変化 / 陸域生態系 / 北極域 |
研究開始時の研究の概要 |
環北極域の陸域(60°以北)を対象にし、近年急速に進む気候変動に対する陸域生態系の変 動を、2-3日といった高い時間分解能で推定できる衛星観測データと陸域生態系モデルを構 築し、環北極域の陸域生態系の微細な変動を早期に観測・予測する。取り扱う現象は、植生 の展葉・落葉時期の推定・異常高温や渇水による植生成長のストレスの早期検出・メタン放 出や植生成長の基盤情報となる凍土融解による湛水域の変化の検出、である。
|
研究実績の概要 |
Terra衛星、Aqua衛星搭載のMODISセンサと、SNPP衛星搭載のVIIRSセンサの地表面温度データを用いて、北半球高緯度域を中心にして、これらのデータセットから地表面温度の日変化情報を得ることができるか(一日に何回の観測を得ることができるか)を評価した。通常はこれらの衛星・センサは、一日に同一地点を昼夜1回ずつ観測する(通常は3つのセンサで一日6回程度)ことは広く知られている。極に近づくほど、衛星の周回の観測幅が重なりあうため、高緯度になるほど得られる観測回数は大きく増加した。例えば、北緯60°付近では一日に12回程度、北緯70°付近では一日に23回の観測を得ることができた。 つぎに本研究では異なるセンサによるデータを統合利用するために、異なるセンサーからのプロダクトが一貫しているかの調査を行った。European DB, Ameriflux, AsiaFluxなどのデータベースなどからタワー観測サイトの長波放射データを収集し、地上観測から推定した地表面データセットを構築し、衛星プロダクトとの比較を行った。その際、観測サイトと衛星観測のグリッドの空間スケールの違いを考慮するため、観測サイト周辺で土地被覆、温度が均質なサイトを選定した。その結果、異なる衛星プロダクト間で誤差が同程度であることを確認し、本解析で異なるセンサデータを一貫して利用することの妥当性を示した。 さらに、2013年の夏季を対象にして、実際の衛星観測から得た地表面温度の日変化を確認したところ、北緯70°付近の観測サイトにおいては、一日に20点以上の地表面温度データを取得でき、衛星による地表面温度でスムーズな日変化を得ることができた。緯度が低くなると得られる地表面温度の観測数は少なくなるが、それでも一日に10点以上の観測値を得ることができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの進捗は当初の予定通りであり、上記の自己評価とした。
|
今後の研究の推進方策 |
まず、地上観測サイトのスケールに着目して、地上観測と衛星観測の差異を説明しながら、どの程度衛星観測で有効な地表面温度データを取得できるかの確認をする。その後、地表観測がある期間の異常高温が起こった年に着目して、平常な温度、異常高温時の温度の状況を整理する。また、グローバルスケールでの気温のデータセットとの比較を行い、地表面温度データを用いることの有効性を実証する。これらの成果を学術論文としてとりまとめる。 次に、これらの温度の日変化情報について、半経験モデルを用いて、定量的に解釈をすることを試み、日変化情報の解釈を試みる。 さらには、空間スケールを広げ、環北極域全体などの広域に適用し、地表面温度の日変化観測データセットを構築し、異常高温などが起こっている場所の検出と、地表面温度の特徴から植生の成長状況の把握を試みる。
|