研究課題/領域番号 |
22K19847
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小松 賢志 京都大学, 生命科学研究科, 研究員 (80124577)
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研究分担者 |
田内 広 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 教授 (70216597)
井原 誠 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (60175213)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 相同組換え修復 / 非相同末端再結合 / 放射線突然変異 / 細胞周期 / DNA修復モデル / 放射線リスク |
研究開始時の研究の概要 |
放射線のDNA修復として、誤りの多い非相同末端再結合と少ない相同組換え修復の2種類が知られている。従来、この2種類のDNA修復の割合は放射線線量に依らず一定と見なされてきたが、非相同末端再結合は致死的な突然変異や染色体異常のために細胞死になりやすく、結果として線量の増加とともにその割合が減少することが示唆される。本研究では、2種類のDNA修復の割合が放射線量の関数になるDNA修復モデルを構築、一方で各DNA修復の突然変異能を直接測定して、DNA修復モデルに基づいた低線量域での放射線線量vs突然変異頻度の関係が、放射線線量に対して直線的増加あるいは予想よりも低線量で上振れする可能性を検証する。
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研究実績の概要 |
放射線照射した細胞の生存率とそこから発生する突然変異は放射線損傷のDNA修復能力に大きく依存する。放射線DNA修復として、誤りの多い非相同末端再結合と誤りの少ない相同組換え修復の2種類が知られているが、非相同末端再結合は突然変異や染色体異常を誘発するので放射線による発がんや遺伝的影響の原因とみなされる。本研究では、初めに放射線DNA修復の主役が非相同末端再結合から相同組換え修復に低線量域で替る我々のシミュレーション結果を実証、そして発がんや遺伝的影響の直接の原因とみなされる放射線突然変異を実測して、放射線リスクがLNT仮説の予想より上振れする可能性について検証することを目的とする。 放射線突然変異は我々が開発した高感度検出系を用いて行う。初年度はDNA修復経路の有無による突然変異頻度測定のために、主として薬剤やコンフルエント法により、G1期、G0期、S期への細胞同調法の確立を行い、併行して次年度の遺伝子解析用に放射線変異細胞の収集を開始する。実験として初めに、G1期とS期に同調した細胞の放射線照射後の生存率と突然変異頻度をよび測定した。その結果、G1期の細胞の突然変異率は特に1Gy以下の低線量でS期の細胞よりも顕著に突然変異頻度が高く、2Gy以上では有意差が見られなくなった。この突然変異頻度の結果は両細胞周期の細胞生存率では大きな違いが見られないことと対照的であった。これらは我々のシミュレーション結果を支持する結果であり、今後の計画進展が期待される。また、非相同末端再結合を主体とする細胞集団と相同組換え集団と入れ替えが起こる現象を解析するためにG0期細胞が得やすいマウスpre-B細胞を米国アラバマ大学から譲渡を受けて現在培養中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験前に予想したことであるが、G1期の細胞にもS期細胞が19.5%含まれており、細胞同調の程度をさらに高める必要性があると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、細胞同調法の改善を行って、初年度に観測されたG1期に高頻度で怒る突然変異頻度が統計的に有意になるまで実験を繰り返して定量的に確認する。同時に、遺伝子解析用に収集した細胞を用いて、非相同末端再結合並びに相同組換え修復に特徴的なDNA二重鎖切断の再結合部位のDNA配列決定から上記結果を分子生物学的方法で確認する。また、pre-B細胞を用いたG0期での実験は革新的な知見をもたらすと期待される。
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