研究課題/領域番号 |
22K19852
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分63:環境解析評価およびその関連分野
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
廣井 朋子 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 講師 (20238398)
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研究分担者 |
大滝 正訓 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (20612683)
那和 雪乃 聖マリアンナ医科大学, 医学研究科, 助教 (10549786)
立浪 忍 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 講師 (70197383)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | リアルタイムRT-PCR / DNAトランスフェクション / ハウスキーピング遺伝子 / 内部被ばく / 放射線影響 / リアルタイムPCR |
研究開始時の研究の概要 |
低エネルギーの放射線による人体への影響は、放射線以外の原因による影響との区別が難しい。本研究では、細胞を生かしたまま核内に外来のDNAを取り込ませる実験手法を用いて、放射線源をその細胞の遺伝子のごく近くに置く。そこから照射される低エネルギーの放射線によって、細胞の生命維持に必要な「ハウスキーピング遺伝子」の発現量に変化が起きるかどうかを、鋭敏な検出方法であるリアルタイムPCR法にて測定する。
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研究実績の概要 |
ヒト色素性乾皮症皮膚線維芽細胞HTZ17XP(ATCC CRL-1360、以下XP)またはヒト正常皮膚線維芽細胞NHDF(PromoCell C-12300、以下ND)を培養し、RNAを抽出してリアルタイムRT-PCRを行い、安定的に発現しているハウスキーピング遺伝子を検出するためのプライマーセット15種類の中から、細胞種の違いや培養時間の違い、プラスミドDNAのトランスフェクションの有無による影響をあまり受けず変動の少ないものを選別した。 プラスミドDNAにレポーターとしてルシフェラーゼ遺伝子を挿入したもの(pCMV-script-Luc)を使用して、XPおよび NDへの導入効率をルシフェラーゼアッセイによって測定した。放射性同位元素で標識されたDNAを添加してからトランスフェクションまでの手順をできるだけ少なくすることによって、添加したRIの損失が少なく、なおかつ核へのDNA導入効率が良い実験系を構築することを目的とした。その方法として、(1)セルフライゲーションの過程を除いて、直鎖状DNAのままトランスフェクションをする、(2)導入される培養細胞を、前培養されてプレートへ接着した状態ではなく、浮遊したままの状態でトランスフェクションを行う、など、様々な方法を試みた。 RI標識反応として、PCR時にRIを添加するのではなく、すでに増幅の済んだPCR産物を基質として、従来からあるランダムプライマー標識法により標識する方法を検討した。32P-dCTPを用いて、精製カラムによる未反応RIの除去・トランスフェクション・RNA抽出・リアルタイムRT-PCRの各行程において、反応チューブやカラムのそれぞれを測定し、どのようにRIが分配されていくかを検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機器備品として、リアルタイムPCR機(TAKARA Thermal cycler Dice Real Time System TP950)を購入し、RI管理区域の実験室に設置した。初年度の予算はこれで大部分を消費するため、消耗品としては高額な核種の標識化合物は避け、比較的安価な32Pを用いてRIの分布等を測定する、RI標識をせずにルシフェラーゼアッセイを行って、細胞へのDNAの導入効率を測定しつつ最適な実験系を組む、などの予備的実験を予定していた。その予定をおおむね実行することができた。
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今後の研究の推進方策 |
RI標識ヌクレオチドとして、(1)32P-dCTP(パーキンエルマー、NEG513H)、(2)35S-dATP(パーキンエルマー、NEG034H)、(3)125I-dCTP(パーキンエルマー、NEX074)、(4)14C-TTP(千代田テクノル、MC-2142)、(5)3H-dATP(千代田テクノル、MT-644)を使用することを予定している。これらを用いてpCMV-script-Lucより増幅した最適長のDNA断片を標識し、XP、NDへトランスフェクションし、一定時間培養後にRNAを抽出して、リアルタイムRT-PCRによりハウスキーピング遺伝子の発現量を測定する。結果について、トランスフェクションしたものがRIを含むかどうかによる差異があるか、また、DNA損傷修復機構が正常であるNDと異常があるXPとで差異があるか、を統計学的に検定する。DNA損傷修復機構によって修復されない差異がみられれば、これを導入されたRIによる何らかの損傷の集積と解釈する。 RI標識DNAを導入して一定時間後に、核タンパク質抽出キット(TAKARA, Cell Fractionation & Protein Extraction Kits)を用いて核画分を分離し、核内に取り込まれたRI量を測定する。培養系全体の体積、細胞と核の体積、添加したRI量などのデータから、遺伝子DNAおよび細胞全体に照射された放射線のエネルギーを核種ごとに算出する。5種類の核種(3H(β線18.6KeV)、14C(β線156KeV)、32P(β線1711KeV)、35S(β線167KeV)および125I(γ線35.5KeV))を比較し、ハウスキーピング遺伝子の発現量への影響とエネルギーとの関連性を考察する。
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