研究課題/領域番号 |
22K19860
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
上高原 理暢 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (80362854)
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研究分担者 |
梅津 将喜 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (30891387)
簡 梅芳 東北大学, 環境科学研究科, 准教授 (20533186)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 担体 / 微生物 / 酸化チタン / 外部刺激 / 金属回収 / チタン |
研究開始時の研究の概要 |
排水からの有価金属回収や有害金属除去は重要な課題である。高感度かつ高選択性を有する微生物による生物学的回収が精力的に研究されており、それに適した担体の開発が求められている。本研究では、超音波照射下でラジカルを発生する酸化チタンをチタン金属表面に形成させ、酸化条件によって微生物の接着の重要因子と考える親水性と粗さを制御する技術を確立するとともに、超音波照射により微生物が脱着可能な外部刺激応答性担体を創製する。
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研究実績の概要 |
昨年度に引き続き、チタン金属を様々な条件で酸化処理を行った。チタン金属を、大気中で加熱したり、水熱処理したり、陽極酸化することで表面に結晶相や微構造の異なる酸化チタン層を形成させることができた。一部の試料について紫外線照射すると、親水性が向上し表面の自由エネルギーが向上した。ただし、有機物を多く含む培地に浸漬すると、有機物が吸着しその表面特性が変化することが分かった。さらに、酸化処理条件により、結晶相と微構造の両方が異なり各因子の与える影響の評価が難しいこと、また基板に透明性がないことから観察方法や紫外線の照射方法に制限があった。そこで、酸化チタンの担体としての特性を基礎的に調べるために、様々な基板表面に酸化チタン薄膜をコーティング可能なゾル-ゲル法に注目した。透明なシリカガラス基板表面にゾル-ゲル法によって酸化チタン薄膜をコーティングした基板を作製した。まず、酸化チタンの原料となるゾル溶液を作製した。その際に、作製する酸化チタン薄膜の結晶相を制御するための添加剤を加えた。ゾル溶液をシリカガラス基板表面にスピンコートしたのち、乾燥し種々の温度で加熱した。添加物と加熱処理条件により、アモルファス、アナターゼおよびルチルからなる酸化チタン薄膜をシリカガラス基板表面に形成させることができた。酸化チタン薄膜をコーティングしたシリカガラス基板は透明性を有していた。現在、この基板を用いて微生物のモデルである大腸菌の接着・脱着について検討している。一方で、有用金属を吸着回収できる微生物を多孔質な足場に担持すると、有用金属を問題なく吸着・回収できることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでに、チタン金属に陽極酸化を施すと酸化処理していない試料よりも酵母が接着しやすいことを明らかにしている。さらに、超音波照射は基板から酵母を脱着させるための有効な手段となることを明らかにしている。しかし、学術的な知見を得ることを目的として、応用的な知見よりも基礎的な知見を得ることを優先しているために、最終目標に向けて少し遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
微生物の接着を促進できるチタン金属の表面酸化や、表面酸化したチタン金属から接着させた微生物を脱着させることのできる手法について見出すことができているが、メカニズムについては不明な点が多い。そこで、ゾル-ゲル法を利用して結晶相や微構造を制御した酸化チタン薄膜を作製して、微生物の付着・脱着を制御するための指針を明らかにしたいと考えている。一方で、酵母の付着と脱着には、酵母を付着させる際に用いる溶液の影響も大きいことが分かったため、付着と脱着のメカニズム解明のために溶液の影響についても検証していく。メカニズム解明を通して、微生物の付着・脱着の制御が可能な担体の創製を行っていく予定である。
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