研究課題/領域番号 |
22K19867
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
遠山 忠 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (60431392)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 微細藻類 / バイオマス / 生物共生系 / 脱炭素化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、『微細藻類-促進細菌共生系』を新しいバイオ触媒とした有用物質生産プロセスを確立することを目指すものである。 本研究では、1.その核となる『微細藻類-促進細菌共生系』が有する代謝・物質合成のメカニズムとポテンシャルを科学的に理解すると共に、2. 『微細藻類-促進細菌共生系』を革新的なバイオ触媒としてフル活用してCO2から有用物質を高生産する技術を開発する。本研究で生産する有用物質は、ディーゼル原料の油脂とプラスチック原料の多糖であり、それらを高生産するための『微細藻類-促進細菌共生系』培養と物質抽出のプロセスを一体的に最適化した後、本構想の脱炭素化効果と実現可能性を総合的に評価する。
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研究実績の概要 |
微細藻類を利用したモノ創りプロセスは脱炭素化に貢献するポテンシャルを有するが、物 質生産性が低いことが最大の課題である。申請者は先行研究において微細藻類の増殖と代 謝・物質合成系を促進する細菌を発見し、促進細菌が微細藻類生産を高める手段になるの ではとの仮説を立てた。そこで、本研究は、微細藻類の光合成と有用物質生産の効率を高めることが期待できる促進細菌を分離し、「微細藻類-促進細菌共生系」が有する代謝・物質合成のメカニズムとポテンシャルを科学的に理解すると共に、「微細藻類-促進細菌共生モデル系」をバイオ触媒として活用してCO2から有用物質を高生産する技術を開発することを目的としている。 本年度は、微細藻類としてChlamydomonas reinhardtii, Euglena gracilis, Chlorella vulgarisやChlorella sorokinianaなどを対象として、それぞれの微細藻類種に共生する促進細菌を探索することを試みた。その結果、合計100株以上の微細藻類共生細菌を分離することに成功した。さらに、分離菌株の16S rRNA遺伝子配列をもとにした系統分類学的同定を行った後に、植物ホルモンであるIAA生産性、鉄キレート物質であるシデロフォア生産性、藻類の増殖を補助するビタミンB群の生産性を調べた。微細藻類の共生細菌のほとんどは、IAA、シデロフォアあるいはビタミンB群のいずれか、または、複数の生産性を有しており、これらの特性が宿主である微細藻類の増殖に有益な作用をしているものと考えられた。さらに、分離した共生細菌から、宿主微細藻類の増殖を促進する優秀な促進細菌を合計30株以上獲得することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
複数種の微細藻類の共生細菌を100株以上分離し、それらの特徴を明らかにすることができた。さらに、微細藻類の増殖を促進する優秀な促成細菌を30株以上獲得することに成功した。以上のことから、当初研究計画の年次目標を達成していることから、「(2)おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、促進細菌が宿主微細藻類の細胞増殖、光合成、バイオマスの生化学的特徴、各種代謝・物質合成系の遺伝子発現、有用物質合成速度に及ぼす影響を実験的かつ定量的に調べて、促進細菌が宿主に作用する分子機構、すなわち微細藻類-細菌間の相互作用機構を明らかにすることを目指す。また、宿主微細藻類に複数の促進細菌を共生させた実験も行い、宿主藻類の物質合成をより高めるための促進細菌混合効果を検証する。さらに、微細藻類と促進細菌ペアに対して、有用物質を高生産するための最適な培養技術を検討する。
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