研究課題/領域番号 |
22K19872
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
大渡 啓介 佐賀大学, 理工学部, 教授 (70243996)
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研究分担者 |
川喜田 英孝 佐賀大学, 理工学部, 教授 (30367114)
成田 貴行 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (30423560)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | レアメタルリサイクル / アニオン除去 / イオン交換 / ジホスホン酸型吸着剤 / カチオン担持型吸着剤 / 重合 / ジホスホン酸 / 多価金属 |
研究開始時の研究の概要 |
都市鉱山からの有害元素除去やレアメタル回収のために、アニオンの処理が不可欠である。有効なアニオン交換基は限定的で、特定アニオンの選択的除去や回収は容易ではない。本研究では『金属カチオン担持型アニオン吸着剤』を提案し実施する。強固で選択的に電荷を中和せず配位数も満たさずに多価カチオンを担持するよう、配位子はジホスホン酸を選択し、嵩高い置換基の導入により金属担持の際の電荷中和を抑制する。担持カチオンは加水分解され易いが水酸化物イオンとの中性錯体は沈殿せず、さらに対象アニオンに対して高選択性を有する。複数のジホスホン酸関与の制御のため電界紡糸法と乳化重合法によって合成するイオン交換樹脂を利用する。
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研究実績の概要 |
小型家電や電子基板から成る都市鉱山からのレアメタル回収のためには、忌避イオンと呼ばれる共存する有害アニオンの選択的な除去が必要である。カチオンと異なりアニオンに対する選択的な分離剤は限定的である。これはアニオンに有効な官能基が限定的であり、サイズ認識などの機能を付与しづらいためである。本研究では緻密に分子設計を行った。配位子は多価カチオンを強固かつ選択的に取り込み、その際に電荷を中和せず配位数も満たさないことで余剰の電荷によりアニオンを吸着する『金属カチオン担持型アニオン吸着剤』を提案した。この際、選択するカチオンは特定のアニオンと強い相互作用を示す。昨年度に引き続き、金属イオンに対して超強力な錯形成能を有することが期待される有機ジホスホン酸配位子を合成した。錯形成する金属イオンの電荷を不完全に中和し、余剰の正電荷でアニオンを吸着するため、有機ジホスホン酸配位子には立体障害の高い側鎖を導入した。多価金属イオンとして3価の希土類金属イオンや第二鉄イオン、4価のイオンとしてジルコニウムイオンについての抽出挙動について検討した。また、研究分担者に協力いただき有機ジホスホン酸配位子を多孔性樹脂に含浸した含浸吸着剤を合成し、リン酸の導入、水への溶解性、耐久性などの各種物性を調べた。また、希土類金属イオンの吸着挙動についても検討を行った。さらに、ビニル安息香酸を乳化重合して樹脂化した後、酸クロ化し、ジホスホン酸を導入した乳化重合型樹脂を合成し、含浸吸着剤と同様に、リン酸の導入、水への溶解性、耐久性などの各種物性を調べた。また、希土類金属イオンの吸着挙動についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に基づき、ジホスホン酸型の抽出試薬の合成と抽出挙動の検討、さらに抽出試薬を多孔性樹脂に含浸することによって、およびビニル安息香酸の重合によって得られた樹脂にジホスホン酸を導入することで得られたジホスホン酸型吸着剤の合成と物性評価を行った。また、多価金属イオンの吸着挙動について検討しており、順調である。しかし、開発したジホスホン酸配位子に水溶性が見られ、含浸型樹脂と同様に作成する電界紡糸法による吸着剤の開発がやや遅れている。また、アニオンに対する選択性の評価などについて今後行っていく予定であり、問題点なども明確であるため、おおむね順調に進展している、と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
開発したジホスホン酸配位子に水溶性が見られたため、疎水性を向上したジホスホン酸配位子を行い、電界紡糸法による吸着剤の開発を行う。開発した吸着剤により、これまでと同様に多価金属イオンの吸着挙動について検討するとともに、さまざまなアニオンの吸着について検討し、アニオン選択性の評価を行っていく。ビニル安息香酸の乳化重合法による吸着剤の開発も引き続き行っていく。また、乳化重合法によって開発したジホスホン酸型吸着剤は元の抽出試薬よりも金属の錯形成能が弱いことが明らかとなった。この原因についても解明する。
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