研究課題/領域番号 |
22K19875
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
松林 尚志 東京農業大学, 農学部, 教授 (30468699)
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研究分担者 |
瀬川 高弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (90425835)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | ヌタ場 / 野生動物 / 微生物 / 生態系 / ワンヘルス / 森林生態系 |
研究開始時の研究の概要 |
森林内には哺乳類や鳥類をはじめ多様な野生動物が集中する水環境「ヌタ場」が存在する。ヌタ場は不特定多数の野生動物が利用することから、異種間に共通する感染症の源である可能性が高い。そこで本研究は、ヌタ場を利用する野生動物の行動解析を行うと同時に、ヌタ場とヌタ場利用種からの微生物解析も行い、森林生態系における野生動物を介した病原性微生物の動態解明を目指す。
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研究実績の概要 |
近年、野生動物由来の感染症増加に伴い、人間の健康には、動物や生態系の健康も考える「ワンヘルス」という概念が注目されている。しかし、生態系における野生動物の生存や繁殖にとって重要な環境に関する情報は乏しい。これまで我々は野生動物と水場環境との関係性について調べ、「ヌタ場」と呼ばれる水場は多数の野生動物によって利用され、野生動物の生存と繁殖にとって重要な環境であることを明らかにしてきた。さらにヌタ場は、野生動物が体温調節や外部寄生虫対策、繁殖行動に伴う泥浴び/水浴びの場所としても知られているが、ヌタ場において野生動物と微生物の関係は全く分かっていないのが現状である。 そこで本研究では、ヌタ場を中心として、ヌタ場形成に関わるイノシシをはじめとする野生動物種と行動が、ヌタ場の微生物群集構造に与える影響を明らかにすることを目的としている。半止水型のヌタ場を対象として山梨県小菅村と神奈川県東丹沢地域、完全止水型のヌタ場を対象として沖縄県西表島にて、各ヌタ場の利用種と行動を明らかにするために自動撮影カメラによるモニタリングを行った。これと並行して、ヌタ場の微生物群集構造を明らかにするために、定期的にヌタ場から泥水のサンプリング・泥水からDNA抽出を行い、16S rRNA遺伝子による細菌叢解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヌタ場を利用する野生動物種と行動を明らかにすることを目的として、各ヌタ場に自動撮影カメラを設置した。現在、山梨県小菅村では10種、神奈川県東丹沢地域では12種の中大型哺乳類を確認することができた。そして両地域において、シカとイノシシが全体の6割以上を占めること、この2種のヌタ場利用が秋に活発になることが判明している。西表島のヌタ場のカメラデータについては解析中である。また、ヌタ場の微生物群集を明らかにすることを目的として、定期的にヌタ場から採取された泥水からのDNA抽出を行い、次世代シークエンサーによる16S rRNA遺伝子を用いた細菌叢解析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き今年度も、ヌタ場利用種と行動の経年性と季節性の把握を目的とした自動撮影カメラによるモニタリングを行う。また昨年度の結果から、ヌタ場を大きく攪乱するイノシシによるヌタ場利用が活発になる時期が判明したので、その前後の時期を含めて、ヌタ場から泥水の集中サンプリング・細菌叢解析を行う。これらに加えて、狩猟や有害駆除の対象となった中大型哺乳類の直腸糞のサンプリング・細菌叢解析を行う。また、ヌタ場周辺での箱ワナによる野生動物の捕獲を試みて、イノシシが捕獲された場合は、イヤータグ型のGPSを装着・行動を追跡することで、ヌタ場周辺の空間利用を詳細に把握する予定である。
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