研究課題/領域番号 |
22K19878
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
土田 さやか 中部大学, 応用生物学部, 講師 (40734687)
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研究分担者 |
松林 誠 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 教授 (00321076)
牛田 一成 中部大学, 応用生物学部, 教授 (50183017)
橋戸 南美 (鈴木南美) 中部大学, 応用生物学部, 日本学術振興会特別研究員 (60772118)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | ニホンライチョウ / 野生復帰 / 微生物汚染評価 / 薬剤耐性 / 緑膿菌 |
研究開始時の研究の概要 |
生物はそれ自身のみで存在しているわけでなく、体腔や体表面に定着する共生微生物を含めた「超有機体」として存在している。そのため生息域外個体を導入する際は、周辺環境への影響を考慮に入れる必要があるが、これまで多くの場合微生物相は対象とされてこなかった。ニホンライチョウは絶滅危惧種であり、保護増殖事業が実施されている。しかしながら野生下ライチョウに頻発する緑膿菌症は野生下では確認されず、野生復帰によって多剤耐性緑膿菌や抗生物質耐性遺伝子が野生下に撒散する可能性がある。本研究では、野生復帰の現場で微生物がどのように伝播するかを追跡調査することによって、微生物生態系を包括した、野生復帰技術構築を目指す。
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研究実績の概要 |
希少動物の野生復帰もしくは再導入の際に、周辺環境への影響を考慮に入れる必要があるが、環境要素として調査されるのは動植物など目に見える生態系に終始 しており、目に見えない微生物相は対象とされてこなかった。本年度の研究では、本研究対象であるニホンライチョウの飼育個体から継続して緑膿菌 (Pseudomonas aeruginosa)の分離を行なった。昨年度は1個体からの分離であったが、本年度は10個体からの分離を実施した結果、およそ80株の緑膿菌株を得た。加えて昨年度採取した菌株も併せて緑膿菌株の遺伝解析を実施し、飼育施設によって遺伝型が異なる可能性があるという結果を得た。緑膿菌の薬剤耐性試験に関しては、採取した株を順次試験中であるため、汚染の指標になりうる抗生物質種の選抜に関しては次年度も継続して行っていく。消化管原虫に関しては、DNA抽出に足りる原虫数を継続して野生下より採取している段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に新型コロナウイルス感染症の流行のため野生個体の調査が実施できなかったため、野生個体由来の緑膿菌および原虫のサンプル数が不足している。特に原虫は培養に生きた個体を要するため、できる限り野生個体糞便をあつめる必要があるが、その数が不足しておりDNA解析を実施できるに至っていない。次年度もできる限り野生由来サンプルの採取を行い、遺伝子解析に足る試料の確保に努める。
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今後の研究の推進方策 |
できる限り野生由来サンプルの採取を行い、遺伝子解析に足る試料の確保に努める。野生由来細菌および原虫を用いて、これまで採取した飼育由来微生物との遺伝型の違いや薬剤耐性プロファイルの異同を明らかにする。この研究結果を総合して、微生物汚染の評価指標になる薬剤耐性や遺伝型を提案する。
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