研究課題/領域番号 |
22K19882
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
|
研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
島田 卓哉 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353723)
|
研究分担者 |
藤井 佐織 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50648045)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
|
キーワード | 野ネズミ / オオヤドリカニムシ / 巣内共生 / 外部寄生者 / 土壌動物相 / 土壌動物 / マダニ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,窒素・炭素安定同位体解析およびDNAメタバーコーディング法によって野ネズミ巣内に共生するオオヤドリカニムシの捕食-被食関係を解明し,標識再捕獲法によって野外でのカニムシ生息個体数の推定を行う.これらの知見に基づき,オオヤドリカニムシが,野ネズミを寄主とするマダニなどの人獣共通感染症媒介者を減少させる天敵効果について検証を行う.
|
研究実績の概要 |
巣内共生者(カニムシ)の天敵効果を発揮させるためには,防除対象となるマダニ等外部寄生者の集中する野ネズミ巣内に効果的にカニムシを誘導する必要がある.そのためには,カニムシの野ネズミへの便乗行動の詳細を解明することが重要である.そのため,岩手大学滝沢演習林において,以下の2つの手法によって,カニムシの便乗行動の解明を行った.1)過去の野ネズミ長期モニタリング調査の際に得られたカニムシ便乗記録の解析.2)標識再捕獲法によって個体識別を行ったカニムシの便乗パターンの解析.1)のカニムシ便乗記録について,連続便乗(二日以上連続して同じネズミ個体にカニムシが便乗している状態)と非連続便乗の割合を比較したところ,14対43で非連続便乗が優先していることが判明した.ここではカニムシ個体識別は行っていないため,カニムシ個体レベルで考えると,連続便乗割合は更に低いものと考えられる. また,2)のカニムシ標識再捕獲法では,のべ132個体のカニムシに標識を行い,その便乗行動を追跡した.再捕獲個体は5頭のみであり,一調査期間内(3-4日)に再捕獲された個体はおらず,いずれも1ヵ月後に再捕獲された. 5個体中,1個体は同一ホストで再捕され,4個体は異なるホスト(いずれもアカネズミ)から発見された.以上の発見から, 野ネズミに便乗したカニムシは翌日までには便乗を停止して他の生息地(巣)に移動し,その後しばらくは便乗せずに移動した生息地(巣)に留まることが明らかになった.これは個体識別によってカニムシの便乗行動を解明した世界初の研究であり,カニムシを野ネズミ巣内に誘導する上での重要な発見である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
課題の採択の決定は7月であったが,当初の計画通り研究チームを立ち上げ,野ネズミの巣の探索を開始した.今年度計画である,これまでに蓄積されたデータの解析を実施し,カニムシの便乗行動の詳細の解明を達成することができた. しかし,新型コロナウイルス感染症による出張制限と海外からの輸入物品の納入遅れのため,調査計画を縮小せざるを得なかった.
|
今後の研究の推進方策 |
マダニ等の感染症媒介者に対するカニムシの天敵効果を解明するために,電波発信機を用いた野ネズミの巣の探索・発見によって,巣内土壌動物相の解明および安定同位体分析による巣内食物網の解明を行う.
|