研究課題/領域番号 |
22K19883
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
|
研究機関 | 立教大学 (2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2022) |
研究代表者 |
栗原 恵美子 立教大学, 理学部, 助教 (90639585)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 天然ゴム / ゴム培養細胞 / メタボロミクス / ケミカルバイオロジー / メタボローム / シングルセルメタボローム / 培養細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
我々の生活に欠かせない天然ゴムの生産について理解し,資源を守るために,本研究では,未分化なゴムノキの培養細胞に対して,低分子化合物処理やゴム合成関連遺伝子の導入を行い,対応する細胞内代謝物質プロファイルを取得することで未分化培養細胞内にゴム粒子を誘導すること,ひいてはゴム合成メカニズムの一端の解明を試みる.
|
研究実績の概要 |
天然ゴムとは一部の植物が合成することのできる長鎖ポリイソプレンである.天然ゴムの安定的な供給のために,ゴムの増産やゴムノキによらないゴム生産が求められているが,長鎖ポリイソプレンの合成に必須な因子やそれらのメカニズムについてはほとんど解明されていない. 本研究では,代表者が独自に確立した未分化なゴムノキの培養細胞を用いて,化合物の処理,もしくは必須と予測されるゴム合成関連遺伝子の導入などを行っていき,対応する細胞内代謝物質プロファイルを取得し,未分化培養細胞内にゴム様粒子(成分としてはポリイソプレン)を誘導することができるか検証することを目的とした.昨年度までにゴム様粒子を誘導する化合物A2の作用機構を行った。また蛍光タンパク質遺伝子を融合させたゴム合成関連伝子<I>CPT,CPTL,REF,SRPP</I>をパーティクルガン法でゴム細胞へ遺伝子導入し,それぞれの局在および挙動を解析した.当初の計画ではこの方法により遺伝子導入した細胞に対応したシングルセルメタボローム解析を行う予定だったが,必要量のサンプルが取得できなかった.そこで,今年度はゴム培養細胞にPEG(ポリエチレングリコール)法による遺伝子導入を試みた.その結果,パーティクルガン法と比較して効率よく蛍光で標識された細胞が確認できた。この細胞を回収し,pyro-GC-MSによるイソプレン含量の解析を行った.また,より高効率な遺伝子導入法として、恒常的な発現細胞の作出を行っている.現在,蛍光標識をした<I>CPT,CPTL</I>融合遺伝子のコンストラクションおよびアグロバクテリウムへの形質転換までが完了し,現在ゴム培養細胞に感染を試みている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度まで行っていたパーティクルガン法での目的遺伝子の一過的導入だが,効率の低さが問題となり,メタボロミクス解析を行うだけの予備実験・サンプル調製まで至ることができなかった.今年度はより効率の高い形質転換法として,PEG(ポリエチレングリコール)法をゴム細胞でも適用することができることを確認した.これにより20-30%程度の細胞においてゴム合成関連遺伝子の導入ができ,対応する細胞のイソプレン含量を測定することができたため,概ね目的は達成できたといえる.
|
今後の研究の推進方策 |
PEG法による遺伝子導入はパーティクルガン法と比較すると高効率に遺伝し導入できることが明らかにった。しかしながら,割合は20-30%程度であった.PEG法による細胞の形質転換は大容量の細胞に対して行うには限界があること,導入効率の改善は本研究の課題である.そこで,PEG法での遺伝子導入効率の改善の検討およびデータ再現性取得を続ける.また,PEG法による遺伝子の導入により計測した値の信頼性・堅牢性を追求するために,アグロバクテリウム法による恒常的な発現細胞の作出を試みる.ゴム合成関連遺伝子の恒常的な発現をするゴム細胞株が作出できない場合は,形質転換法が確立されているタバコBY-2培養細胞やタバコ植物体などを用いて検証を試みる.
|