研究課題/領域番号 |
22K19885
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分64:環境保全対策およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
磯部 紀之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋機能利用部門(生物地球化学センター), 副主任研究員 (10802986)
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研究分担者 |
石井 俊一 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 超先鋭研究開発部門(超先鋭研究開発プログラム), 副主任研究員 (10556913)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | セルロース / 深海底 / 生分解性 / 紙 / レーヨン |
研究開始時の研究の概要 |
紙やコットン、セロハン・レーヨンといったセルロース単一素材は環境にやさしい、というコンセンサスがあるが、暗闇・低温(摂氏2~4度)環境である深海底に流出した場合は、陸上や浅海に比べると生分解速度が遅いため、海洋ごみとして深海底に蓄積してしまう可能性がある。そこで、本研究課題では、セルロース単一素材がどのような深海底でどんな生物によってどのように分解されるかを、製造工程で残留する微量成分の影響も含めて定量的に精査することを目指す。
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研究実績の概要 |
紙やコットン、セロハン・レーヨンといったセルロース単一素材は環境にやさしい、という漠然としたコンセンサスがあるが、暗闇・低温(摂氏2~4度)環境である深海底に流出したセルロースの単一素材の分解は極めて遅い。また、残留する微量成分が分解度に大きく影響を与えること も示唆されている。これより、環境にやさしいと考えられているセルロース単一素材は、実は海洋、特に深海底で生分解しないのではないか、 という問いがもたらされる。最悪のシナリオは、環境低負荷材料の切り札として使用された紙などの単一素材のセルロース材料が、深海底では一切分解されずに海洋ごみとして蓄積し、生態系に大きな悪影響を与えてしまうことである。このシナリオを回避すべく、本研究課題では、セルロース単一素材がどのような海洋環境でどんな生物によってどのように分解されるかを、製造工程で残留する微量成分の影響も含めて定量的に精査することを目指す。 2022年度に深海底に設置したサンプルの設置回収を行った。その結果、海域ごとによりセルロース素材の分解速度は大きく異なることがわかった。しかしその一方で、分解実験に用いる格納容器の穴のサイズに応じて分解速度が異なる可能性も示唆された。そこで2023年度では、格納容器の穴のサイズの影響を精査すべく、紙やコットン、セロハン・レーヨンといったセルロース素材を、目開きの異なる容器に格納し、深海底への追加設置を行った。また、次世代シーケンサを用いたメタオミクス解析技術を用いて、深海底に設置・回収したセルロース素材に蝟集した微生物叢の解明と、セルロース素材上で高度に発現している機能遺伝子の解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度に予定していたラボ実験(セルロース素材を滅菌海水と共に高圧容器に封入して静置し、低温・高圧・塩分存在下でセルロース素材中に残留する微量成分がどの程度海水中に溶出してくるのかの分析)が、高圧装置・測定機器の調整等により完遂することができなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、紙やコットン、セロハン・レーヨンといったセルロース単一素材が、深海底においてどんな生物によってどのようにどれくらいの速度で分解するかを明らかにする。 2024年度では、新たに深海底に設置したサンプルの回収および次世代シーケンサを用いたメタオミクス解析を行い、目開きの異なる格納容器では生分解性のメカニズムが異なるかどうかの確認を行う。また、2023年度に未完遂であったラボ実験を行う。具体的には、セルロース素材を滅菌海水と共に高圧容器に封入して静置させることで、低温・高圧・塩分存在下でセルロース素材中に残留する微量成分がどの程度海水中に溶出してくるのかを、ガス・液体クロマトグラフィー質量分析法により明らかにする。
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