研究課題/領域番号 |
22K19908
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
居城 邦治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (90221762)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 金ナノ粒子 / ヤヌス型ナノ粒子 / 自己集合 / 光免疫療法 / 近赤外 / 光熱変換 / プラズモン / 近赤外光 / 光熱効果 / ガン細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
ガン治療法として、光免疫療法は「第5のがん治療」として注目されているが、治療に用い る波長 690 nm の光では組織の透過度が高くないので、光ファイバーを腫瘍の適切な部位 に穿刺して光照射しないと、十分な治療効果を期待することはできない。そこで、本研究 では透過深度が高い波長1,000 nm を超える近赤外光(OTN-近赤外光)でガン細胞を破壊す ることを可能にするヤヌス型金ナノロッドの開発をめざす。これにより無侵襲な(体の中に光ファイバーを入れない)ガン光治療の開発をめざす。
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研究成果の概要 |
本研究では、近赤外(NIR)光を吸収し発熱する金ナノ粒子を温度応答性リガンドで被覆し、光熱変換により疎水性となり界面活性効果が発現することで、細胞膜を破壊するシステムを開発した。金ナノディスク表面に弱疎水性リガンドを修飾して温度応答性を付与した結果、金ナノディスクは加熱/冷却に応じて集合/脱集合を示し、良好な分散安定性を示した。続いて、同様のリガンドで修飾した金ナノロッドを培地中でガン細胞と混合しNIR光を照射して、細胞膜破壊の効果を評価した結果、NIR光照射で細胞の生存率が顕著に低下した。以上の結果から、金ナノ粒子の光熱変換能を用いるとNIR光でガン細胞の死滅を誘起できることが分かった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
近年、「第5のガン治療」として注目されている光免疫療法は、皮膚を透過する近赤外(NIR)光で色素を反応させ、ガン細胞を特異的に死滅させることができるが、細胞膜の破壊効率、色素分子の吸収波長、内在的な毒性の点で改善の余地がある。一方で、本研究により、金ナノ粒子の形状を制御することで、より生体透過性が高いNIR領域にプラズモン吸収波長を設定できることが明らかとなった。さらに、金ナノ粒子の光熱変換能により、NIR光でガン細胞の死滅を誘起できることが分かった。本研究で得られた成果により、標的細胞の破壊効率が高く、毒性を低減した新たな光免疫療法への応用展開が期待できる。
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