研究課題/領域番号 |
22K19921
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
金沢 貴憲 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (60434015)
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研究分担者 |
宮田 完二郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50436523)
中南 秀将 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20548515)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
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キーワード | Nose-to-Brain / RNA送達 / ナノ粒子 / 嗅球 / 脳幹 / 二重標的ミセル / 脳 / ウイルス感染 |
研究開始時の研究の概要 |
中枢機能障害を引き起こすSARS-CoV-2の脳感染は、COVID-19における喫緊の課題の1つである。代表者は、鼻腔から脳への新規ルート(Nose-to-Brain経路)に着目し、脳内への高いRNA送達性を示すNose-to-Brain送達(NtB)ミセルの開発に成功している。本研究では、脳感染ウイルス治療に資する脳内感染神経に選択的かつ高濃度にRNA医薬を届ける技術の開発を目指し、感染により発現増大する受容体と神経細胞特異的受容体の親和性抗体を、NtBミセル表面に適切に配向させた二重標的NtBミセルを設計し、そのRNA送達性をin vivoおよび感染神経細胞により検証する。
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研究実績の概要 |
はじめに、本研究で標的とする嗅球・脳幹部への送達に適したナノ粒子(Nose-to-Brain送達型ポリマー/ペプチド共集合化ミセル)の物性を明らかとするため、様々な物性のナノ粒子の組成・調製条件を検討した。分子量の異なるPEG-PCLブロックコポリマーとペプチドを様々な組成比で共集合化させたナノ粒子をマイクロ流体デバイス法(MF)により調製し、物性を評価した。結果より、共集合化ナノ粒子は, ポリマー/ペプチド組成比およびMF条件である流速比が粒子径とその多分散指数(PDI)に影響を及ぼすことが示された。一方、ゼータ電位はいずれの分子量のブロックポリマーにおいても、MF条件よりもポリマー/ペプチド組成比が影響を及ぼすことを明らかとした。次に、粒子径およびゼータ電位の異なる数種類の共集合化ナノ粒子にMalat1標的siRNAを搭載し、マウスへ経鼻投与した際の脳内Malat1遺伝子発現解析を行った。その結果、わずかな正電荷を示す50 nm以下の共集合化ナノ粒子が、嗅球・脳幹部を中心に脳内全体でMalat1発現を抑制することを見出した。さらに、本研究課題ではナノ粒子表面への抗体リガンド修飾をクリック反応を用いて行うため、その予備検討として、アジド化PEG-PCLブロックポリマーを用いた共集合化ナノ粒子の調製を試み、物性を評価した。その結果、アジド化により共集合化ナノ粒子の物性は変化しないことを確認した。以上、本年度の検討により、嗅球・脳幹部を中心に脳内全体で標的遺伝子発現効果を示すナノ粒子の物性・組成とその調製条件を明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の中核を担う、経鼻投与により標的部位である嗅球・脳幹における高い標的遺伝子発現抑制効果を示すナノ粒子の組成・調製条件を確立し、抗体リガンド修飾のために必要なナノ粒子のアジド化にも着手できたため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、今年度確立した嗅球・脳幹部での高い遺伝子発現効果を示すナノ粒子の表面に2種類の抗体リガンドを修飾した二重標的化ナノ粒子を作製する。また、二重標的化ナノ粒子にSARS-Co-V2ウイルス標的核酸を搭載させた二重標的化ナノ粒子を作製し、感染ヒト神経細胞における細胞取込み、ウイルス増殖抑制率(生存率: MTT assay)を定量的に検証し、最大効果を示す二重標的化ナノ粒子を同定する。SARS-CoV-2 感染細胞を用いる実験は、P3 の高度病原体実験施設を有する東京薬科大学で行う。
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