研究課題/領域番号 |
22K19922
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
北山 雄己哉 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 助教 (40649745)
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研究分担者 |
原田 敦史 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 教授 (50302774)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | がん診断 / ナノセンサ / 蛍光 / シアル酸 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの早期診断は、癌患者の完治や良好な予後を経ることにつながるため患者のQuality of Life向上に直結する。癌細胞表面は正常細胞とは異なる分子が細胞膜表面に発現することが知られ、これを識別することでがん早期診断における精度向上が期待される。本申請課題では、癌細胞膜上に発現した分子に対して特異的にTurn-on型蛍光発信することが可能なナノセンサの開発を試みる。
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研究実績の概要 |
がんの早期診断は、癌患者の生存率を上昇させることに加えて、良好な予後を経ることにつながるため患者のQuality of Life向上に直結する。本年度は、癌細胞に対して高発現している糖鎖に対する高親和性・高選択性を示す人工抗体を開発するための機能性モノマーおよび高分子の合成を試みた。まず、標的であるシアル酸のジオールと結合可能なフェニルボロン酸を有し、オルト位にアミノメチル基を介した蛍光色素(アントラセン)をもつアクリルアミド系モノマー(蛍光情報発信モノマー)を合成した。得られた蛍光情報発信モノマーに対してシアル酸の一種であるN-アセチルノイラミン酸を相互作用させたところ、N-アセチルノイラミン酸濃度の増大に伴い蛍光強度が増強した。N-アセチルノイラミン酸のカルボキシ基をエステル化した類似化合物を添加した場合、蛍光強度が上昇した一方で、ヒドロキシ基をアセチル化した類似化合物では、蛍光強度の上昇がほとんど観察されなかった。このことから、得られた蛍光情報発信モノマーは糖鎖と未結合状態では蛍光消光状態にあるが、N-アセチルノイラミン酸のジオール部位とエステル形成することにより、蛍光発信状態に変化できるモノマーであることがわかった。さらに、水溶性モノマーである2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を共重合することで水溶性高分子化できた。この結果から、本研究で開発した蛍光情報発信モノマーは、シアル酸と相互作用することを蛍光情報として発信可能な蛍光部位と重合性部位の両者を併せもつ機能性モノマーであることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、本研究の推進において重要なモノマーである、シアル酸と相互作用することで蛍光強度が上昇する機能性モノマーを合成できた。さらに、本モノマーをラジカル重合により高分子量化することができたため、人工抗体の合成に近づいている。そのため、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度に合成した蛍光情報発信モノマーと水溶性コモノマーを用いて合成した高分子について、共重合体中に含まれる蛍光情報発信モノマーユニットの割合解析を行い、共重合性について評価する。加えて、シアル酸に対する蛍光応答性を示すかどうか検討を続ける。ここで、蛍光情報発信モノマーの共重合性が低い場合や、ポリマー化することで蛍光応答性が低下する場合については、蛍光情報発信モノマーの構造について再検討する。具体的には、重合性部位と蛍光応答部位のスペーサー構造の再検討を実施し、重合時における立体障害の緩和を検討する。これにより、蛍光情報発信モノマーを適切に導入したポリマーを合成後、シアル酸検出能を評価する。加えて、アミジン基を有する機能性モノマーも合成し、水溶性モノマーに組み込み、シアル酸結合・検出能に与える影響について評価する。
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