研究課題/領域番号 |
22K19926
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
川添 直輝 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 高分子・バイオ材料研究センター, 主席研究員 (90314848)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 1型糖尿病 / 膵島 / 膵β細胞 / マイクロウェル / 複合多孔質足場材料 / インスリン分泌 / 膵性糖尿病 / マイクロパターン / 複合足場材料 |
研究開始時の研究の概要 |
膵性糖尿病は、膵島内のインスリンを産生する膵β細胞が損なわれることによって発症し、根本的な治療方法は膵島移植しかない。しかし、ドナーから採取した膵島は生体内と同様のスフェロイド構造を保つことは困難で、搬送および培養の過程でスフェロイド構造が崩壊したり、細胞が壊死したりする。その結果、膵島の機能が極端に低下してしまうという問題が生じる。本研究では、膵島本来の構造の保持を可能にしている生体内環境に倣い、膵島本来の機能を保持しながら三次元培養が可能な複合足場材料を開発する。
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研究成果の概要 |
糖尿病治療では、膵β細胞の移植が進んでいるが、膵β細胞のインスリン分泌をさらに促進することは課題である。本研究では、膵β細胞の凝集体形成およびインスリン分泌機能を促進するため、ゼラチン多孔質マイクロウェル足場材料を作製した。マイクロウェル構造は、氷微粒子テンプレート法を用いて乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)メッシュ上に作製した。多孔質マイクロウェル足場材料で培養したRIN5F細胞(膵β細胞の細胞株の一種)は高いバイアビリティーをもち、ブドウの房状の凝集体を形成した。さらに、RIN-5F細胞のインスリン分泌は多孔質マイクロウェル足場材料での培養によって促進された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究では、ゼラチン多孔質材料の外表面に形成させたマイクロウェル内に膵β細胞の集合体を形成させること、細胞集合体のインスリン分泌を促進させることに成功した。原料にゼラチンを用いることで、細胞集合体に過度の機械的ストレスを与えずに、その構造と機能を保持できると考えられる。生体内で膵島の構造と機能を保持する本質的な因子を抽出し、それらを足場材料の設計に反映させた点に本研究成果の学術的意義がある。1967年に膵島分離法と膵島移植が報告されて以来、世界中で膵島移植が行われている。将来、本マイクロウェル多孔質足場材料を用いた革新的な糖尿病治療が実現することが期待され、本研究成果の社会的意義は大きい。
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