研究課題/領域番号 |
22K19934
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
氏原 嘉洋 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80610021)
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研究分担者 |
毛利 聡 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00294413)
竹井 元 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00708183)
中村 匡徳 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20448046)
杉田 修啓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20532104)
西辻 光希 福井県立大学, 海洋生物資源学部, 准教授 (60770823)
花島 章 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70572981)
伊藤 愛 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00963464)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 冬眠 / ハムスター / ラット / 低力学負荷 / T管膜 / 心筋細胞 / 低温 |
研究開始時の研究の概要 |
心筋細胞のT管膜の崩壊は,心不全発症の引き金になる.T管膜は低力学環境下で崩壊することが知られているが,冬眠時においては,低力学環境下であるにも関わらず,心筋細胞の構造が維持されていると報告されている.そこで本研究では,冬眠哺乳類と非冬眠哺乳類の心筋細胞を比較することで,冬眠哺乳類が独自に進化させてきたT管膜維持機構の解明を目指す.得られた知見を新規心不全治療の創出に発展させたい.
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研究実績の概要 |
哺乳類心筋細胞の効率的な収縮・弛緩を担うT管膜は,低力学環境下で崩壊することが知られている.しかしながら,冬眠時には低力学環境下にあっても心筋細胞の構造が維持されていることが示唆されている.そこで本研究では,冬眠哺乳類と非冬眠哺乳類の心筋細胞を比較することで,冬眠哺乳類が独自に進化させてきたT管膜維持機構の解明を目指す. 本年度は,冬眠を誘導するプロトコール(具体的には、餌の種類と床替えの頻度)を見直し,ハムスターを冬眠させることに成功した.デジタル聴診器を用いて心拍数が劇的に低下しているのを確認し,その後1か月ほど冬眠させて低力学環境を維持した.心臓をホルマリン固定し,薄切りスライスした後に小麦胚芽凝集素を用いて細胞膜を可視化した.その結果,T管膜の顕著な崩壊は見られず,長期間の低力学環境下においても,冬眠中はT管膜が維持されることがわかった.これまでの報告では,冬眠期間が短かったり,電子顕微鏡による局所範囲でのT管膜の観察に限られていたが,本研究により冬眠時にT管膜の崩壊が起こらないことが明らかになった. 低力学負荷耐性が冬眠時にのみ発揮されるのか,それとも冬眠前からハムスターは低力学負荷耐性を持つのかを明らかにするために,非冬眠哺乳類のラットと非冬眠時のハムスターの心筋細胞を単離し,拍動や血圧の負荷のない静置培養を行った.その結果,非冬眠時のハムスターの心筋細胞のT管膜は崩壊しており,ラットよりも低力学環境に強いという結果は得られなかった.以上より,冬眠時にのみ低力学負荷耐性が発揮される可能性が示唆された.今後はデータ数を増やし,慎重に研究を進めていく予定である.
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