研究課題/領域番号 |
22K19937
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 公立小松大学 (2023) 佐賀大学 (2022) |
研究代表者 |
山岡 禎久 公立小松大学, 保健医療学部, 教授 (80405274)
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研究分担者 |
石田 真敏 東京都立大学, 理学研究科, 准教授 (60706951)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 光音響イメージング / フェムト秒光パルス / 光音響顕微鏡 / フェムト秒パルスレーザー |
研究開始時の研究の概要 |
光音響イメージングは生体深部を可視化する技術として,医学,生物学の分野において注目されている.しかしながら,得られる光音響画像のコントラストは主に分子吸収のみにより作られるため,吸収と蛍光の両方でコントラストが作られる蛍光イメージングと同等のコントラストを得ることは困難である,この問題を解決するために,本研究では,光パルス列の繰り返し周波数を対象分子の分子振動周波数と一致させ,共鳴効果により光音響波を増強し,発生する光音響波に関しても分子選択的検出を行う.
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研究実績の概要 |
現在,生体組織の深部や立体構造を持つスフェロイドのような細胞の集合体の内部を細胞レベルの空間分解能で可視化することは非常に困難である.そのような深部構造を可視化するために,我々は光音響イメージングに着目し,本研究ではフェムト秒光パルスを用いた光音響イメージングシステムを開発している.昨年度までは,フェムト秒光パルス列を2つの光路に分け,音響光学素子を用いて別々の周波数で変調し,それをもう一度空間的に重ねて,ビート周波数やその2倍の周波数で発生する光音響波を測定することにより,高空間分解能化を目指してきた.また,空間的な重なりを変調した光音響顕微鏡システムも構築した.今年度はそれらの知見を活かしながら,フェムト秒光パルス列に対してポッケルセルを利用し,任意のタイミングで光パルスを間引くシステムを構築した.そのことにより,フェムト秒光パルス列内の光パルスの間隔が狭く,1つ1つのパルスによって発生する光音響波の観察は困難であるという問題点を,フェムト秒光パルス列の時間変調や空間変調を使うことなく,直接観察可能にすることにより解決した.実際にRhodamine B/ethanol溶液を用いて,レーザー発振器からのフェムト秒光パルスによって発生する光音響波を観察することに成功した.フェムト秒光パルスは1つの光パルスのエネルギーが小さいため,通常,増幅器を必要であるが,本システムではレーザー発振器からの光パルスを直接を用いて(増幅器を使うことなく),光音響波の検出ができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は装置の引っ越し等がありなかなか研究が進まなかったが,今年度はポッケルセルを利用した繰り返し周波数を変更することが可能である光音響イメージングシステムの構築を行うことができた.おおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究推進方策としては,ポッケルセルを用いてフェムト秒光パルス列の繰り返し周波数を変更することが可能となったので,光音響信号の検出感度向上のために測定分子の分子振動周波数に繰り返し周波数に合わせて,光音響波を測定する.あるいは,繰り返し周波数にあった分子振動を有する分子を探し,光音響波を測定し,今回の提案の有効性に関して検討を行う.また,生体内に存在するニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を対象として光音響波の検出を行う予定である.低酸素下でNADHの濃度が一般的に上昇することが知られているため,がんの広がり診断に有効である.そのためのセル内でのNADH水溶液にピルビン酸と乳酸脱水素酵素(LDH)を添加し,ピルビン酸濃度を変化させるとNADHとNAD+の比率を変更できることを確認しており,これらの溶液を使い,フェムト秒光パルスによる光音響波の測定を行っていく予定である.
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