研究課題/領域番号 |
22K19939
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
伊井 仁志 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (50513016)
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研究分担者 |
小野寺 宏 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (20214207)
相澤 健一 自治医科大学, 医学部, 准教授 (70436484)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | 血管 / ラメラ層 / 計算力学 / 粒子ベース手法 / 動物モデル実験 / 二光子顕微鏡観察 / 大動脈解離 / 動物モデル / 顕微鏡観察 |
研究開始時の研究の概要 |
大動脈解離は大動脈血管内に血液が浸潤することで内部のラメラ層が破断し血管が引き裂かれる血管障害であり、効果的な診断・予防・治療法に向けた現象の究明が必要とされている。本研究では、「病態モデル動物実験」、「透明化処理技術を併用した高精度二光子顕微鏡観察と三次元形態取得」、「サブマイクロからマイクロサイズの弾性線維・ラメラ層の不均質構造体およびそこに侵入する血流との力学連成解析」という実験観察技術と数値解析技術を統合したアプローチにより、力学平衡破綻という観点から病態を引き起こすプロセスとメカニズムの解明を図る。
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研究実績の概要 |
ラメラ層破断の計算力学モデルの構築に向け,エラスチンラメラ層とラメラ間線維を陽に考慮した連続体力学モデルを改良し,先行研究で示されている血管壁の内圧試験結果を再現する正常血管の計算力学モデルの構築を行った.具体的には,エラスチンシートを膜モデル,ラメラ間の密なエラスチン線維群と平滑筋細胞およびコラーゲン線維群による力学挙動を配向を考慮した異方性超弾性体として扱い,エラスチンが線維状となったStrutをラメラ間を架橋する陽的な弾性要素として区別してモデル化した.これにより,血管壁内で主要な力学要素を個別に取り扱うことができ,個々の力学性状の違いを反映した解析が可能となった.先行研究の内圧・血管半径の試験データについて,シミュレーション結果が一致するよう,各種個別要素のモデルパラメータを同定することで,再現度が高い血管力学モデルの構築を達成できた.さらに,モデルパラメータ変更による個々要素の脆弱化を仮定し解析したところ,エラスチンシートの剛性低下が壁内の応力分布の上昇に最も影響することが分かった.これは,血管壁内の弾性線維脆弱化では,エラスチンシートの弾性が低下するような構造変化が生じる可能性を示唆している. また,ラメラ層内の流動解析を行うための粒子ベース手法の数値流体計算手法に関する基礎検討を行った.弾性線維など血管内壁の複雑な構造を考慮可能な解析メッシュを必要としない移動最小二乗法による計算手法を提案した.単純流れモデルに対する検討で従来手法に匹敵する計算精度が得られることを確認した. 動物モデル実験の予備検討より,実験条件の選定を行った.この条件のもと病的モデルの取得を開始し,day0,3,7,14における数十例のサンプル取得を終えた.また,二光子顕微鏡のサンプル画像に対し,画像処理手法の検討と画像処理ソフトウェアによる構造抽出の習得を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り,ラメラ層破断の際現に向けた計算力学モデルの構築を順調に行えている.また,流動現象を再現するための粒子ベースに基づく新規手法提案も行い論文として成果を公表でき順調である. 動物モデル実験と二光子顕微鏡観察は予備的検討を順調に終え,データの取得も順調に進んでいる.
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今後の研究の推進方策 |
構築した血管壁の計算力学モデルと粒子ベース手法を組み合わせ,ラメラ層内のマイクロスケール流動を再現できる数値計算モデルの構築を行っていく. 加えて,大動脈解離モデルのお動物モデル実験と二光子顕微鏡観察を行い,薬剤持続投与後の経過日数とラメラ層構造がどのように変化するかを調べていく. これらを統合したラメラ層破断の計算力学モデルを構築し,破断プロセスの物理メカニズムを解明を図っていく.
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