研究課題/領域番号 |
22K19940
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
|
研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (00381731)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | drug delivery system / マイクロディスク / 好中球 / 脳梗塞 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、脳梗塞の病態進行に合わせたdrug delivery system(DDS)の構築を目指し、好中球を用いて薬物を送達するNeutrophil-mediated DDSの研究開発を行う。好中球は炎症に対して速やかに応答する細胞であり、脳梗塞急性期から修復期にわたって脳に浸潤し、障害部位の修復に関与する。そのような好中球を担体にして細胞保護作用をもつ薬物を送達することで、画期的な脳梗塞治療法の開発に繋げる。長期間の薬物徐放が可能なマイクロディスクを作成して好中球に搭載し、単回投与で長期的に脳保護効果をもたらす革新的なDDS技術の開発を目指す。
|
研究実績の概要 |
脳梗塞の病態進行に着目した斬新なdrug delivery system(DDS)の構築を目指し、好中球を薬物担体として利用するNeutrophil-mediated DDS technologyに関する研究を行った。好中球は炎症に対して速やかに応答する細胞であり、脳梗塞急性期から修復期にわたって脳に浸潤し、障害部位の修復に関与する。そこで本研究では、長期間の薬物徐放が可能な扁平状マイクロ粒子 (マイクロディスク)を好中球に搭載し、単回投与で長期的に脳保護効果をもたらすDDSの開発を試みた。生体適合性が高い乳酸-グリコール酸共重合体(PLGA)とポリ乳酸(PLA)を主成分とするマイクロディスクを作成し、好中球に搭載した。マイクロディスクの細胞接着部は、好中球表面のCD206とCD44にそれぞれ親和性を有するキトサンとヒアルロン酸を積層させて作製した。マイクロディスクは好中球に取り込まれることなく細胞表面に保持された。マイクロディスクの薬物担体部の組成を最適化し、タクロリムス徐放型のマイクロディスクを作成した。タクロリムスの放出試験を行ったところ、最適化したマイクロディスクを用いることで、2~4週間の薬物徐放が可能になった。またタクロリムスの封入はマイクロディスクの好中球への接着に影響を及ぼさなかった。急性肺障害モデルと中大脳動脈梗塞モデルを用いて好中球の動態を評価したところ、好中球が炎症組織に集積する様子が観察された。以上より、マイクロディスクと好中球を用いたDDS技術の研究開発により、炎症部位への薬物送達が可能になることが示唆された。
|