研究課題/領域番号 |
22K19942
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
田口 和明 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 准教授 (90621912)
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研究分担者 |
酒井 宏水 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70318830)
住吉 晃 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 分子イメージング診断治療研究部, 主任研究員 (80612530)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | メトヘモグロビン / MRI / ヘモグロビン |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、メトヘモグロビンの磁気共鳴イメージング (MRI)検査用造影剤としてのproof of conceptを得て、安全性と標的性を両立したメトヘモグロビンを基盤とした全身MRI検査用造影剤を開発することを目的とする。本目的を達成するために、内因性ヘモグロビンの微小空間環境 (赤血球内) を模倣して、メトヘモグロビンを人工脂質膜に封入したメトヘモグロビン内封リポソームを創製し、その可能性を探求する。
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研究実績の概要 |
本研究では、メトヘモグロビンの磁気共鳴イメージング (MRI) 検査用造影剤としてのproof of concept (POC; 概念実証) を得て、安全性と汎用性を両立したメトヘモグロビンを基盤とした全身MRI検査用造影剤を開発することを目的とする。2023年度には、前年度にMRI造影剤として創製したmetHb@Lipo (メトヘモグロビンをリポソームに高濃度に封入したリポソーム製剤) の脳血管造影や腫瘍造影について評価した。その結果、metHb@Lipoは脳血管 (特に静脈) のシグナルを上昇させ、脳血管造影剤として利用できる可能性を示した。また、担癌モデルマウスを用いて腫瘍部位の造影効果の評価を行ったところ、腫瘍部位のシグナル上昇が確認された。しかしながら、このシグナル強度の上昇は造影剤として使用できる程の強度上昇ではなく、腫瘍造影剤としての実用性は低いことが示された。これは、metHb@Lipoの粒子径がEPR効果を得られる粒子径 (<100 nm) より非常に大きい (220 nm) ため、十分な腫瘍集積を示さなかったためと考えられる。さらに、5/6腎臓摘出 (慢性腎不全) モデルマウスを用いた安全性試験を行った。その結果、metHb@Lipo投与後において毒性示す所見は確認されなかった。現在上市されているガドリニウム系造影剤は腎機能低下患者に対する使用が禁忌となっている。そのため、metHb@Lipoは腎機能低下患者の全身MRI検査を可能とする安全性と汎用性を両立した新たな全身MRI検査用造影剤になる可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安全性と汎用性を両立した全身MRI検査用造影剤の素材としてメトヘモグロビンの可能性を提示するエビデンスを得ることができており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
メトヘモグロビンを基盤とした次世代型MRI検査用造影剤 (センサー造影剤やセラノスティクスを可能とする造影剤) の創製と有効性評価を行う。
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