研究課題/領域番号 |
22K19945
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分90:人間医工学およびその関連分野
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
大矢 裕一 関西大学, 化学生命工学部, 教授 (10213886)
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研究分担者 |
能崎 優太 東北大学, 薬学研究科, 助教 (90805889)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | ナノ粒子 / ワクチン / コロナウイルス / ヒアルロン酸 / ポリマーミセル / 経鼻投与 / ポリイオンコンプレックス / 免疫療法 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では, 経鼻投与において,コロナウイルスに対する効果的な免疫獲得を可能にするナノ粒子システムを開発する。正電荷を有する生分解性ポリマーミセルを,樹状細胞に親和性を有するヒアルロン酸で被覆した高い安定性を有するナノ粒子に,抗原として新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)スパイクタンパク質およびアジュバントを搭載したものを調製する。これをマウス鼻腔内に噴霧し,鼻粘膜を介して新型コロナウイルスに対する免疫を獲得できるかを,血中や唾液,鼻腔洗浄液中の特異的抗体量をELISAなどにより計測して評価する。最終的にはin vivoの感染防御を検討し,ワクチンとしての実用性を評価する。
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研究成果の概要 |
表面に正電荷を有する生分解性ポリマーミセルを,樹状細胞に親和性を有するヒアルロン酸(HA)で被覆した極めて高い安定性を有するHA被覆ミセルを用いて,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する経鼻投与型ワクチンを開発した。SARS-CoV-2スパイクタンパク質を抗原として担持したHA被覆ミセルを作成し,骨髄由来樹状細胞に作用させたところ,高い取り込みとサイトカイン産生能,MHCクラスII抗原の発現など,免疫系で中心的役割を担う樹状細胞の活性化が確認された。さらに,マウスへの経鼻投与により,血中の特異的IgG,および唾液や鼻腔浸出液中の特異的IgAの分泌を誘導できることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,著しく高い安定性を持つHA被覆ミセルを用いることで経鼻投与による免疫付与が可能であることを示した点に学術的意義がある。COVID-19パンデミックの際には,mRNAワクチンが使用され,mRNAワクチンは短期間で開発可能という点で画期的であったが,筋肉注射を必要とし,医療関係者が接種を行う必要があり,大規模接種時には本来治療にあたるべき医療従事者の負担を増加させるという問題があった。開発したワクチンは経鼻投与が可能であり,侵襲度も低く,自己接種も可能であり,今後新たなパンデミックが起こった際には,医療従事者の負担を大きく軽減することが見込まれるという点で大きな社会的意義を有している。
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