研究課題/領域番号 |
22K19958
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
野上 志学 三重大学, 人文学部, 講師 (40963393)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | メタ倫理学 / 表出主義 / 錯誤論 / 懐疑論 / 錯誤説 / 道徳懐疑論 / 道徳認識論 / 哲学 / 分析哲学 / 倫理学 |
研究開始時の研究の概要 |
合理的なフィクションとして、我々はいかなる内容の道徳を受け入れるべきか。この問いに具体的かつ詳細な解答を与えることが本研究の目的である。その道徳的実践が我々の福利を上昇させるという意味で、合理的であるような道徳を一つでも見つけ出すことができれば、「我々は道徳的命題を知ることができない」という道徳に関する懐疑論、「道徳的判断はおよそ真ではありえない」という道徳錯誤論、我々の道徳的実践そのものを不合理とする道徳廃絶主義、道徳否定論に応じることができる。
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研究成果の概要 |
本研究は,メタ倫理学における錯誤説や道徳懐疑論を前提として,合理的なフィクションとしての道徳の可能性を探究するものである.とりわけ,フィクションとして道徳を導入する際に,革命的表出主義と呼ばれる見解に依拠する可能性の是非について検討した.これは,我々は道徳語の使用を,メタ倫理学的表出主義に沿うかたちで変更することを主張するものである.表出主義にはさまざまな利点があるとはいえ,Frege=Geach問題というきわめて深刻な論理的問題が指摘されてきたが,本研究ではこの問題に対してAllan Gibbardの意味論を一般化するという新しいアプローチを試みている.
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
道徳というものが何か所与のものとして,疑うべからざるものとして受け入れられている現在,その道徳についての錯誤論(これは道徳が体系的に偽であるとする)や懐疑論(これは道徳について我々は何も知りえないとする)という「極端な」学説--むろんここで極端というのは偽であるとか疑わしいことを含意しない--に基づく,道徳の変容の可能性を示唆することは,現在の「モラリスティック」な社会においては,現行の実践について一定の反省的な考察,すなわち,畢竟我々にとって道徳は有益な役割を果たしているのかという問いを促すという点で意義あるものと思われる.
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