研究課題/領域番号 |
22K19966
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
石田 知子 富山県立大学, 工学部, 講師 (70963411)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2022年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
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キーワード | 無知 / イグノランス / パラダイム論 / 分子生物学史 / 不知 / ignorance / 社会実験 / 不知(ignorance) / 科学における実験 |
研究開始時の研究の概要 |
社会実験とは、新規科学技術の試験的な社会導入を通じて学びを得ようとする試みである。そのありかたは伝統的な科学実験とはいくつかの点で異なっており、いわゆるモード2科学的な営みである。しかしながら、モード2科学の科学哲学的分析は、これまで十分になされてきたとは言えない。本課題では、不知(ignorance)の観点から、モード2科学としての社会実験の役割や機能、そしてあるべき姿について哲学的に検討する。
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研究成果の概要 |
社会実験における無知をうまく扱うには、科学研究が無知を生じさせるメカニズムを理解する必要がある。本研究では、クーンのパラダイム論を足掛かりに、分子生物学史を主な題材として分析を行った。パラダイムとは、それを共有する科学者集団に思考の枠組みをもたらすものであり、適切な問いの立て方や研究方法などを規定している。パラダイムは効率良く研究を進めるうえで不可欠なものであると同時に、否応なく無知を生じさせる。本研究では、パラダイムの各構成要素が無知の源泉となりうることを確認した。さらに、生じた無知によって重大な帰結が生じることを防ぐためには、複数のパラダイムを並立させることが重要であることを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
技術開発を成功させるために重要であるのは、研究の過程で有害な無知を生じさせないことである。とりわけ、科学技術の社会実装を目指す研究においては、無知は重大な帰結をもたらしかねない。本研究では、パラダイムの内部にいる者が、そこで生じている無知を認識することは困難であることを示した。これは、科学技術の社会実装を目指す研究開発においては、様々な興味関心や価値観を持つステークホルダーを巻き込むことがとりわけ重要だということを示唆している。科学技術によって様々な問題解決を図る際に、本研究から含意される事項は、重要な意味を持つであろう。
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