研究課題/領域番号 |
22K19967
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県立芸術大学 |
研究代表者 |
七條 めぐみ 愛知県立芸術大学, 音楽学部, 講師 (90963637)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 第一次世界大戦 / 日本の捕虜収容所 / 収容所の音楽活動 / ドイツ軍楽隊 / 日独交流史 / 捕虜収容所 / 洋楽受容 / 洋楽器産業 / 第1次世界大戦 / 戦争捕虜と音楽 / 青島 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、第1次世界大戦中に中国・青島から日本に収容されたドイツ軍捕虜による音楽活動に着目することで、「文化実践の場」としての収容所像を描き出そうとするものである。ドイツ軍捕虜の音楽活動については、これまで収容所単位での伝記研究が豊富に行われてきたが、本研究はより幅広い視点からの考察を行う。すなわち、①日本をはじめとする東アジアの洋楽受容史と捕虜の音楽活動との接点、②青島や本国ドイツのコンサート文化との関連、③近代化する日本社会に対する捕虜収容所の与えた影響、などの視点である。本研究ではこれらの観点を史資料を用いて実証的に明らかにするため、実地調査を豊富に行う。
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研究成果の概要 |
本研究は、第一次世界大戦中に中国・青島(チンタオ)から日本へ収容されたドイツ軍捕虜(俘虜)による音楽活動に着目し、それがどのような歴史的意味を持っていたのかを明らかにすることを目的とする。2年間の研究成果として、以下の点が明らかになった。(1)捕虜の音楽・文化活動に対する日本陸軍側の姿勢は、約5年の収容期間の中で規制対象から収容所の安定的な運営に欠かせないものへと変化したこと。(2)捕虜による音楽活動は、青島時代の軍楽隊の音楽実践を直接的に受け継ぐよりも、近代ドイツのコンサート文化を反映するものであること。(3)名古屋収容所において、収容末期に音楽を含む演劇作品が上演されていたこと。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は、音楽をはじめとする文化活動を切り口に、ドイツ軍捕虜収容所が近代日本においてどのような意味を持っていたのかを問うものである。本研究により、捕虜の音楽活動が一部の捕虜の音楽的素養だけに依拠するものではなく、日本陸軍の管理体制、民間企業からの支援、収容所の立地状況などの外部要因によって成り立つものであるという見方が強化された。すなわち、音楽はそれ単体で成り立つものではないという、音楽社会学的な視点を取り入れることにより、収容所が隔絶された空間ではなく周囲の社会環境と連関しながら存在するものであることを浮かび上がらせたと言える。
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