研究課題/領域番号 |
22K19969
|
研究種目 |
研究活動スタート支援
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
|
研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
胡 せい 上智大学, 中世思想研究所, 研究員 (10963035)
|
研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | 中国哲学 / 熊十力 / 近現代中国思想史 / 現代新儒家 / 認識論 / 文化交渉学 / 比較哲学 / 近代化論 / 中国近現代哲学 / 生の哲学 / 東西文化交渉学 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、熊十力(1885-1968)の哲学、とりわけその〈生命〉概念を検討することにより、その哲学に含まれる世界の近代化および東西文化交渉の意味を究明する。近現代中国の代表的哲学者である熊十力の哲学は、近代ヨーロッパ哲学の影響下で、東洋文明と西洋文明との拮抗現象を色濃く含み、それが同時に中国社会の近代化問題の核心を示す略図となっている。 さらに、熊十力と同時期の近代日本の哲学者である西田幾多郎や金子筑水は熊十力と類似したプロセスで近代化への道を試みることになった。熊十力の哲学における近代化論を究明することは、日本も含めた東アジアの思想における近代化のプロセスへの究明にもなる。
|
研究成果の概要 |
課題を遂行し、以下のことが分かってきた。 まず、二〇世紀の中国における文化保守主義、文化急進主義、自由主義の三者は、いずれも同じ問題関心や思想源泉を共有しており、当時の時代的特徴をそれぞれのかたちで展開していたものとして理解できる。言い換えれば、これらは同じ「近代化」を画策した三つの異なる方向として捉えられるのである。この点において、熊十力の哲学思想を西洋的近代への思考から切り離し、もっぱら伝統の中国思想への追懐として扱うことが出来ない。 また、熊十力の哲学のなかにある西洋哲学に関する議論は、その認識論や本体論を構築する際に重要な思想源泉であることから、西洋哲学の議論を中心にテクストを解釈した。
|
研究成果の学術的意義や社会的意義 |
この研究成果はまず、熊十力の『新唯識論(語体文本)』の「成物」章を解釈しました。この章は熊十力の哲学の発展を示したものであるにもかかわらず、十分に研究されていません。従って、文献の解釈は従来の空白を埋めると同時、熊十力の哲学理論を解明することにも寄与できます。 そして、熊十力の哲学を二〇世紀の中国啓蒙思潮に置いて考えるとき、ベルクソンの哲学やカントの哲学などのような西欧の哲学は非常に重要な位置を占めていることはわかってきます。というのも、これらの理論は東アジアの伝統文脈にある自発的な近代的思惟の形成にも関連しているからです。この現象は哲学の普遍性問題を議論するさいに極めて重要なモデルとなります。
|