研究課題/領域番号 |
22K19973
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研究種目 |
研究活動スタート支援
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
0101:思想、芸術およびその関連分野
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
繁田 歩 早稲田大学, 文学学術院, 助手 (80961622)
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研究期間 (年度) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | イマヌエル・カント / 現代認識論 / 様相形而上学 / 批判哲学 / 様相 / 様相論理学 / 認識的様相 / マイノング主義 / 分析哲学 / 近代ドイツ哲学 |
研究開始時の研究の概要 |
イマヌエル・カント(1724-1804)は『純粋理性批判』で可能性・現実性・必然性を「様相」のカテゴリーに総括しているが、その意味について研究者間の合意形成はできていない。というのも、カントの様相は「論理」の様相、「形而上学」の様相、「認識」の様相のどれとも一致しないという奇妙な特徴を有するからである。この「様相概念の曖昧性」は認識の「可能性」の探求というカント哲学の根幹を揺るがしかねないため、カント研究上の喫緊の問題である。本研究では、様相に関するカントの記述を論理学・形而上学・認識論それぞれの文脈に区分することで曖昧性を解決したうえで、それらの体系的な関連性を論証する。
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研究成果の概要 |
本研究の目標はイマヌエル・カントの術語としての「様相」が、どのように理解されるべきであるかについて再検討することであった。彼の概念使用は、認識論、形而上学、論理学という三つの異なった領域を自由にまたがっており、このことは曖昧性の温床であるように思われた。本研究では、カントにおいて対象の現存在は様相的現実性であること(論理学と形而上学との融合)、そして真とみなすこと論については認識の現実性が論じられること(認識論と論理学との融合)が確認された。そのうえで、それら三つの分野にまたがりうることこそが、カントの批判哲学の特殊性であることを明らかにした。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の学術的意義は、今日の哲学からカント哲学を振り返ったときに見出されうる可能な曖昧性に解決の糸口を見出したことであった。カント哲学は現代でも影響力を持つが、18世紀の思想であるという時代的な制約を負っている。そのため、カントが知りえなかったような概念区分というものも今日では存在しており、そのような一見した曖昧性がカント哲学の魅力を低下させる一因となっているのである。このような現状を踏まえて、本研究では現代の様相形而上学や現代認識論の議論を援用してカントの概念使用を明確化しる解釈を提示することを試みた。このような成果は西洋哲学の古典を正当に評価するための学術的・社会的意義をもつであろう。
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